産総研らが共同開発 強度・伸度両立したCNT

2024年06月26日

ゴムタイムス社

 産業技術総合研究所、ナノカーボンデバイス研究センター化学評価研究チーム小橋和文研究チーム長、ナノデバイス研究チーム森本崇宏 研究チーム長、先端素材研究チーム張民芳主任研究員、岡崎俊也首席研究員、ナノ材料研究部門ハイブリッドアクチュエータグループ杉野卓司主任研究員らは6月25日、オーミケンシ、信州大学後藤康夫教授と共同で、高強度レーヨンに匹敵する強度と伸度を両立した低環境負荷カーボンナノチューブ複合セルロース繊維を開発したと発表した。
 なお、この研究成果の詳細は、2024年6月21日に「Composites Part B Engineering」に掲載された。
 同研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発/タイヤコード用CNT複合溶剤法セルロース繊維の開発」(2018~2020年度)、「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム/実証開発/タイヤコード用CNT複合溶剤法セルロース繊維の開発」(2021~2024年度)による支援を受けている。
 同研究で用いたカーボンナノチューブはセルロースよりも高い強度を持つため、セルロースに添加すると得られる複合材の高強度化が期待できる。同研究で製造したカーボンナノチューブ複合セルロース繊維は強度を保ったまま伸度とタフネスが向上した。繊維の構造解析の結果、カーボンナノチューブ束の直径をセルロース繊維の中間階層構造と同程度(約10~100nm)にして糸中に均一に分布させることで補強効果を発現させることに成功した。
 同研究のカーボンナノチューブ複合セルロース繊維は、タイヤコードとして使用されている高強度レーヨンに匹敵する強度と伸度を兼ね備えている。
 今後、実用的な製造プロセスの開発と得られる複合繊維の試作を進め、タイヤメーカーと連携し、タイヤメーカーで試作品の評価を受ける予定となる。

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