三井化学と子会社のアークは6月26日、2社で共同開発したダイレクトペレット式3Dプリンティング部品と、三井化学が開発した一方向性炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂シート「TAFNEXCF/PP」が、TCD ASIA CO.,LTD.「以下、TCD-A」が企画したTOYOTA FORTUNERをベースにした高機能コンセプトカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に搭載されたと発表した。
TAFNEXCF/PPおよび今回開発したダイレクトペレット式3Dプリンティング部品は、タイ・バンコクにて6月26日~6月30日に開催されるカスタムカーショー「バンコクオートサロン2024」、タイ・バンコク近郊にて7月3日~7月7日に開催されるカーレース「バーンセングランプリ2024」で展示される。
「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」は、TCD-Aのモータースポーツ事業におけるレーシングフィールドで培った走破性能、空力性能を踏まえたスタイリングデザインを採用した高機能コンセプトモデル。新素材の活用により、更なる軽量化も実現した。
スポーツシートを4座配置することで、2シーターでは味わえない新しい愉しみ方を創造する。今回、TAFNEXCF/PPはフードエアダクト、フロントバンパーの一部に加飾部品として、ダイレクトペレット式3Dプリンティング部品はフードエアダクトのベゼル(枠)部品に搭載されている。
ダイレクトペレット式3Dプリンティング部品について同社は、2020年に自動車開発におけるESP(エンジニアリングサービスプロバイダー)であるドリームスデザイン株式会社、2023年にダイレクトペレット式3Dプリンターメーカーである株式会社ExtraBoldに出資・業務提携を開始した。
今回搭載された3Dプリンティング部品は、ドリームスデザイン社の車両部品の設計技術、ExtraBold社の大型・高速造形が可能な3Dプリンター「EXF-12」、試作から量産までの製品開発支援企業で業界国内最大手であるアークの3Dプリンターの造形・後加工技術、そして三井化学で3Dプリンティング向けに開発を進めるポリオレフィン系コンポジットの技術を総動員し、実現した。
ダイレクトペレット式の3Dプリンターは、射出成形用の機構を応用して樹脂ペレットから直接造形することで、従来型3Dプリンターよりも樹脂の吐出量を安定的に増加させ、大型の造形物を高速で造形できるメリットがある。また、3Dプリンティングによる多品種少量生産での型レス工法は、「開発期間の短縮」や「金型コスト等の初期投資の削減」に寄与する。さらに、造形物を粉砕してペレットを造粒することで3Dプリンター造形原料としてリサイクルできるため、サーキュラーエコノミーへの貢献も期待できる。
TAFNEXCF/PPは、三井化学独自の技術を用いて炭素繊維とポリプロピレン(PP)を複合化した一方向性テープ(UDテープ)。軽量、高剛性で成型性が良く、大理石調デザインなど多彩に意匠を変えられる特徴を持っている。射出成型品やプレス加工品への部分補強としての用途展開や、パイプ形状、積層板計上への加工が可能で、自動車、ドローン、産業・民生向けの各種用途分野への適応、採用を目指している。
2024年06月27日