日本自動車部品工業会は、会員で上場自動車部品企業83社の2011年3月期の経営動向をまとめた。それによると、売上高・利益ともに前年度対比増加、売上高は18兆9801億円、営業利益1兆1538億円、経常利益1兆1563億円、当期純利益6552億円となった。しかしながら、12年度の業績見通しは東日本大震災の影響から現時点で未発表の企業が多く、サプライチェーンの復旧・復興や生産の回復に注視していく必要がある、としている。(関連表=5面) 日本経済は、2011年度中間期までは前年度後半からの新興国を中心とした景気回復の影響や先進国での景気刺激策により、一定の回復をみせていた。一方、為替相場での円の独歩高や原材料価格の上昇など企業業績を圧迫する要因もあり、実体経済に関しては依然、楽観できず厳しい情勢の中にあった。 こうした中、自動車業界は、中間期までは国内では政府の景気対策のための補助金・エコカー減税などの効果により、需要も一時回復したが、9月での補助金終了後はその反動減もあり、再び減退基調となった。しかし、新興国などの海外は好調を維持した。 自動車工業会の発表による2011年度の自動車国内生産は899万台、前年度比1・5%増で、3年ぶりにプラス成長となった。車種別では乗用車が0・4%増、トラックは7・9%増、バスは13・3%増。ただし、今年3月に発生した東日本大震災の影響で、3月だけを見た場合、四輪車生産は前年同月比57・3%減と半減した。 同工業会がまとめた自動車部品メーカー83社の2011年度業績も上期が好調に推移、累計では売上高・利益ともに増加、売上高は18兆9801億円、前年度比12・3%増、営業利益は1兆1538億円、同95・3%増、経常利益1兆1563億円、同86・8%増、当期純利益6552億円、同213・4%増となった。 売上高・利益は、特に中間期までが補助金などの効果で前年同期に対して大幅な生産増であったこと、また輸出、海外生産も新興国を中心に増加傾向だったことなどが貢献し、前年度比12・3%の増収となった。 利益も一昨年後半から各社が合理化や生産体制の再編などコスト削減策を行ってきたこともあり、営業利益以下全ての項目で大幅に改善された。ただし、下期期間だけをみた場合は、10年度は生産が回復し始めた時期であることに加え、11年度は9月で補助金が終了したこと、また3月の震災による生産減などから前年同期との比較では売上高が1・0%減、利益は20%減前後となっている。 設備投資動向は、海外向けが回復してきたことや生産再編のための設備投資も一部あったため、有形固定資産取得のための支出は前年度比7・5%増と増加に転じたが、減価償却費に関しては、それ以前の設備投資の抑制や減損を反映して11・4%減と減少した。 2012年度の業績見通しに関しては、東日本大震災の影響で自動車各社の生産計画をはじめ不確定な要素が多く、現時点で未発表の企業が多い。サプライチェーンの復旧・復興はもとより生産の早期回復に努めるのは当然のこととして、当面の各社の資金繰りなどの状況を注視していく必要がある、としている。
2011年07月04日