三菱ケミカルは6月27日、有胞子性乳酸菌プロバイオティクスであるヘンドリクシア(旧名:ワイツマニア、バチラス)・コアグランス(Heyndrickxia coagulans SANK70258)(以下H・コアグランス)の風邪様症状に対する有効性を検証するヒト臨床試験を行い、H・コアグランスが風邪様症状を緩和させることを確認したと発表した。
この研究成果は、2024年6月17日「Frontiers in Immunology」に掲載された。
乳酸菌は、有用微生物としてさまざまな機能を持っていることが広く知られているが、H・コアグランスは、一般的な乳酸菌とは異なり、胞子を形成するため、酸や熱に強く、菌が死滅せずに腸で発芽して増殖するという特性を持っている。これまで腸内環境改善効果、便通改善、肌機能の改善などの機能性を確認しているが、今回は、風邪様症状緩和の可能性について、ヒト臨床試験を行った。
今回の試験では、20歳以上、65歳未満の風邪様症状を呈しやすい被験者79人を対象に、H・コアグランスを10億個以上含むカプセルを摂取するグループ(H・コアグランス群39人)と、H・コアグランスを含まないカプセルを摂取するグループ(プラセボ群40人)の2群に分けて8週間の介入試験を実施した。
試験期間中、風邪様症状のスコアを評価したところ、H・コアグランス群における鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛みスコアがプラセボ群と比較して有意に低値を示し、それらの累積発症日数についても有意に低値を示した。
また当変化に付随して、H・コアグランス群では、ウイルス感染防御を統括的にコントロールしているとされるプラズマサイトイド樹状細胞(pDCの活性化、さらにはナチュラルキラー細胞の活性化や唾液中の分泌型IgA量の増加も認められた。
加えて、H・コアグランス群では腸内酪酸濃度の増加に伴い、炎症が抑制されることも確認された。
これらのことから、H・コアグランスを摂取することによる、pDCの活性化を介した統合的な免疫賦活作用、ならびに腸内の酪酸産生の亢進を介した過剰な炎症の抑制効果が、風邪様症状の緩和に寄与している可能性が確認された。
2024年06月28日