ENEOSホールディングスは7月8日、同社グループの海運事業を手掛けるENEOSオーシャンの原油タンカー事業以外のLPG船、ケミカルタンカー、プロダクトタンカーおよび貨物船等を中心とする海運事業を、吸収分割によりENEOSオーシャンが新たに設立する完全子会社に承継させた上で、新会社株式の80%を日本郵船に譲渡することについて、日本郵船と同日合意したと発表した。
なお、同件取引は、公正取引委員会等の国内外の関係当局の承認および許認可の取得等を条件として実施する予定であり、2025年4月1日に完了する見込みとなる。
ENEOSオーシャンは、原油、LPG、ケミカル・石油製品および貨物船等の多岐に亘る船種を展開し、長年に亘り、同社グループ向けの海上輸送に貢献すると共に、国内・海外の様々な企業に対して質の高い海上輸送を提供してきた。
一方で、近年の船価の高騰による投資負担増や、CO2排出量を始めとする世界的な環境規制への対応、DXの推進による安全性の向上・運航の効率化等の課題に対応する為には、グローバルな海運セクターにおける成長戦略を描くことが出来る新たなオーナーのもとで事業を行うことが、対象事業、ひいては同社グループにとって最適と判断した。こうした状況の下、対象事業の持つ高い可能性を最大限に引き出し、事業および従業員の更なる成長を実現できるオーナーとして、国内外航海運業界におけるリーディングカンパニーであり、脱炭素への取り組みを加速し、成長分野での積極的な投資を推進する日本郵船に譲渡することを決定した。
同社は、グループの長期ビジョンに掲げた「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に挑戦することで、企業価値の最大化を目指している。また、「第3次中期経営計画」では、これまで以上に資本効率を重視すべく、ROICを指標としたポートフォリオ経営の実践による「経営基盤の強化」を基本方針の一つに掲げており、同件取引はこの方針に沿ったものとなる。
対象事業は引き続き、同社グループのサプライチェーンにおいて重要な海上輸送を担うものであり、同社としては、ENEOSオーシャンを通じて新会社株式の持分を20%保有することで対象事業に引き続き関与し、日本郵船グループと共に、対象事業の将来的な成長に向けて歩んでいく。
2024年07月09日