東海カーボンは7月16日、同日開催の取締役会において、電極事業の構造改革の一環として、2025年7月までに、日本と欧州の黒鉛電極生産能力を、年間56千tから同32千tに削減すること、生産能力削減に向け、国内黒鉛電極生産を山口県防府市の防府工場に集約し、滋賀県近江八幡市の滋賀工場での生産を2025年7月末までに終了することを決議したと発表した。
同社黒鉛電極事業は、滋賀工場、防府工場の国内2拠点に、欧州(TOKAI ERFTCARBON)、北米(TOKAI CARBON GE)を加えた世界3極体制で事業を拡大してきたが、世界的な鉄鋼生産低迷で電極需要が減少していることに加え、日本を含むアジア・欧州・中東市場においては、中国・インド勢による低価格製品の流入によって市況が大幅に軟化し、構造不況状態となっている。
こうしたなか、今後とも、ユーザーに安定的に製品を供給するためには、日欧生産能力削減が不可避との判断に至った。これに向けて、本邦においては、防府工場に生産を集約し、2025年7月までに、滋賀工場の生産を終了する。
同社は、2024年2月に公表した3ヵ年中期経営計画「Tー2026」において、「主力事業の収益基盤の強化」を基本方針とし、黒鉛電極事業の構造改革の推進を掲げている。黒鉛電極事業は、カーボンニュートラルの潮流のなか、2030年に向けて、大口径品を中心に、世界的にも大きな需要が創出される見通し。今回の生産体制再構築により、抜本的な構造改革を実現し、競争優位性を高め、北米、アジア、欧州市場における大口径品や高品質な黒鉛電極の需要に対応していく。
国内は、滋賀工場の生産を終了(2025年7月末予定)、防府工場に生産を集約し、日本国内の黒鉛電極生産能力を約50%削減、出荷能力は年間 2万6000tから年間1万2000t体制とする。
欧州(TOKAI ERFTCARBON,Germany)では、国内拠点の生産集約に合わせて、欧州拠点の黒鉛電極生産能力を約30%削減し、年間3万tから年間2万t体制とする(2025年7月末予定)。
北米(TOKAI CARBON GE,USA)北米拠点においては、生産能力の変更はない(年間4万t体制)。
現在、滋賀工場に勤務する従業員については、同社国内拠点への配置転換等を通して、雇用の確保に努めていく。
同件が、2024年12月期の連結決算に与える影響については、現在、精査中であり、今後、開示すべき事項が発生した場合は、速やかにお知らせする。
2024年07月17日