三洋化成、環境配慮型消臭剤開発 プラの臭気成分に消臭効果

2024年07月18日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は7月17日、プラスチックの溶融混練時に混ぜ込むだけで、環境配慮型プラスチック固有の多様な臭気成分に対して高い消臭効果を発揮する消臭剤「ケシュナール」を開発したと発表した。
 「ケシュナール」は、消臭成分をベース樹脂に高濃度に配合したマスターバッチ(MB)。取り扱いが容易で、低添加量で効果を発揮し成形品の機械的物性にほとんど影響を与えない。同社独自の分散技術と相溶化技術により消臭成分を対象樹脂に均一分散させることができるため、高い消臭効果を発揮する。また、食品用の容器・包装材料向けにも使用可能。
 「ケシュナール」は、特にポリオレフィン系樹脂への相溶性に優れているため、今後需要拡大が予測されるポリオレフィン系樹脂のバイオマス複合プラスチックやリサイクルプラスチックなどの環境配慮型プラスチックの臭気低減に貢献できる。
 近年、二酸化炭素排出による気候変動問題に対し、世界中で石油由来資源の使用率低減や廃プラスチック削減の動きが高まっている。日本でも2022年に「プラスチック資源循環法」が施行され、バイオマスなどの代替素材やリサイクルプラスチックなどの需要はますます増加すると考えられる。
 バイオマス素材と樹脂を複合したバイオマス複合プラスチックやリサイクルプラスチックは、しばしば特有の臭気(揮発性有機成分:VOC)が問題となることがある。臭気は多様な成分の混合物のため、多様な成分に対応できる環境配慮型プラスチックに適した消臭剤が求められている。
 同社が開発した消臭剤「ケシュナール」は、臭気成分を吸着・捕捉する物理的消臭と、化学反応で臭気成分の生成を抑制する化学的消臭の相乗効果で多様な臭気成分に対応でき、消臭効果の即効性と持続性が期待できる。
 「ケシュナール」は消臭成分を高濃度に配合したMBのため、取り扱いが容易で、溶融混練時に混ぜ込むだけで消臭機能を付与できる。同社独自の分散技術、相溶化技術を活かして、ベースポリマーとの混合性を向上し、消臭成分を対象樹脂中に均一分散しやすくしたため、消臭成分の比表面積を最大限にでき、消臭機能・効果を高く発現させることに成功した。
 少量添加で消臭効果が得られるため、成形品の機械的物性への影響がほとんどない。また、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度で認められた成分のみを使用しているので、安全で、食品用の容器・包装材料向けにも使用可能としている。

ケシュナールの外観

ケシュナールの外観

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