産総研らが共同研究 サポーターによる歩行の対称性

2024年07月19日

ゴムタイムス社

 産業技術総合研究所は7月18日、同研究所健康医工学研究部門運動生理学・バイオメカニクス研究グループ藤本雅大研究グループ長、稲井卓真研究員、土田和可子研究員、工藤将馬研究員が、香川シームレス金地晃司専務、コヤマ・システム佐野弘実代表取締役社長、香川県運動推進協会安部武矩代表、四国学院大学社会学部片山昭彦教授らとの共同研究において、膝サポーターの着用による「歩行の対称性」向上の有無を検証したと発表した。
 膝サポーターは高齢者の歩行機能の改善に有用とされているが、その効果を客観的に示す検証データは不足しているため、健常な高齢者の歩行を計測し、膝サポーターが歩行の対称性に及ぼす効果を評価した。
 膝サポーターを着用せずに早歩きをすると、歩行の対称性(身体前後方向の腰部加速度から算出)が損なわれた。一方、膝サポーターを着用すると、対称性が向上する(歩行が整う)ことが明らかになった。歩行の対称性と転倒リスクの間には関連性があり、高齢者では特に早歩きの際の転倒リスクの増大が報告されている。
 同研究結果から、膝サポーターは早歩きの際の転倒リスクを低減するのに有用である可能性が示唆された。
 なお、この研究の詳細は、2024年7月17日に「Frontiers in Bioengineering and Biotechnology」に掲載された。
 同研究の成果は、膝サポーターが歩行の質、特に歩行の対称性の向上をもたらすことを示す科学的根拠を提供するものとなる。同研究所は、今後もヘルスケア製品・サービスの検証データの取得を進め、人の身体・運動機能の維持・ 改善に資する科学的知見の獲得とそれらのヘルスケア産業への応用を通じて、健康かつ質の高い生活の実現に繋げていく。

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