「すべてを持続可能に」を企業ビジョンとするミシュランと、フランス産業界を代表するダノン、アメリカのスタートアップ企業DMC、クレディ・アグリコル・グループの4社は7月22日、高度な発酵手法、特に精密発酵の大規模な開発を推進するため、バイオテック・オープン・プラットフォームを設立することに合意したと発表した。精密発酵は、バイオベースの材料や原料を生産する画期的なバイオ技術。
第1フェーズでは総投資額1600万ユーロを超えるこの産業・技術プラットフォームは、フランス中央高地のクレルモン・フェラン市に位置し、ミシュランが支援するイノベーション促進施設「パルク・カタルー 持続可能素材センター」内に設置される。また、バイオテクノロジー・オープン・プラットフォームは、クレルモン・オーヴェルニュ大学、Greentech社、欧州地域開発基金(ERDF)、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏、クレルモン・オーヴェルニュ・メトロポールなど、複数の官民機関の支援を受ける。
産業界が化石資源の代替を模索する中、より効率的に原料を供給しつつ、持続可能なソリューションが注目されている。特にバイオテクノロジー、精密発酵はこの課題を解決する有望な方法のひとつである。精密発酵は、細菌・酵母・真菌などの微生物を用いて、タンパク質・酵素・その他の産業用分子を生産する最先端技術で、農業食品や素材分野での技術革新に適している。基礎研究では進歩が見られるが、バイオテクノロジーにはさらなる大規模開発が必要となっている。
バイオテック・オープン・プラットフォームの究極の目的は、研究室でテスト済みの革新的な製品や手法を拡大し、精密発酵の開発を加速させること。このプロジェクトは2025年までに発酵槽と精製装置を含む初期試験規模の生産ラインを設置し、2026年には2つ目の生産ラインを含む追加設備が設置される予定である。この拡張により、共同創設を行った4社の拡大ニーズに応え、他の企業にも順次開放される。
ミシュランのフロラン・メネゴーCEOは、次のように述べている。
「このたび、ミシュラングループはパートナーと共に、将来の産業界にとって重要な課題であるバイオ素材の開発を促進するユニークな設備「バイオテック・オープン・プラットフォーム」の設立を発表しました。このプラットフォームは、オーヴェルニュ地方に位置し、ミシュラングループが事業を展開する地域ならびにイノベーションの発展に対するミシュランの揺るぎないコミットメントを体現するものです。」
ダノンのアントワーヌ・ド・サンタフリークCEOは次のように述べている。
「ダノンでは、常に食品の未来に対する投資を重視しており、今回のパートナーシップはその追求における次なるステップです。パートナーと協力して最先端の発酵技術を開発し、食品業界の技術革新、健康効果、脱炭素化を加速させることを楽しみにしています。私たちは、この共同の取り組みに参加し、現在業界が直面している課題に対処するために貢献できることを誇りに思います。」
DMCのケニー・エルドスCEOは次のように述べている。
「当社は、フランスの日常生活で重要な役割を果たしている企業との新たなパートナーシップに熱意を抱いています。米国のスタートアップ企業である私たちにとって、新たな「バイオテック・オープン・プラットフォーム」の開発は、当社の革新的な発酵技術を活用した新製品の拡大と商業化を加速させるものです。」
クレディ・アグリコル・グループのフレデリック・バロCEOは次のように述べている。
「Credit Agricole Centre Franceは、地域の変革とイノベーションを支援しています。当社は、「バイオテック・オープン・プラットフォーム」を通じて、クレルモン・フェラン市でのバイオベース分野の発展を推進し、地域の価値と魅力を高めることに努めます。この事業は、パルク・カタルー内の『イノベーション・ヴィレッジ』に入居するスタートアップ企業にもチャンスと相乗効果をもたらすでしょう。」
2024年07月23日