住友ゴム 次世代オールシーズンタイヤ発表 氷上路面にも対応

2024年07月25日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は7月22日、路面状況に応じて性能がスイッチする新開発のゴム技術「アクティブトレッド」を初搭載した次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」を10月1日から発売すると発表し、新商品発表会をANAインターコンチネンタルホテル東京で開催した。
 新商品は水や温度に反応し路面状態に合わせてゴム自ら性質が変化する新技術「アクティブトレッド」を組み込むことで、ゴムの柔らかさに寄与する因子の1つであるポリマーの動きをコントロールする。これにより、スタンダードサマータイヤ以上の優れたウエット性能を発揮するとともに、従来のオールシーズンタイヤではカバーできていなかった氷上を含むあらゆる路面での走行を可能とする。
 発表会で登壇した山本悟社長は「あらゆる路面、天候にタイヤが能動的にアジャストし、生活者の日常をより豊かにしていくことを願いシンクロウェザーと名付けた」と商品名について説明した後に、新商品については「現在発売しているオールシーズンタイヤの後継品ではなく、全く異なる基軸を持った新ジャンルとして発売する。これは進化ではなく発明。アメーバのように変化するゴムが新たな体験価値を生み出す。このタイヤが今後の自動車用タイヤの概念を大きく変えると信じている」と新商品を紹介した。
 続いて、同社執行役員タイヤ事業本部副本部長の田中進氏が商品特徴と採用技術について説明を担当した。
 新商品に搭載された「アクティブトレッド」技術では、ゴムの中に路面状態の変化に反応する2つの「スイッチ」を組み込むことでポリマーの動きをコントロールすることに成功した。
 1つ目の「水スイッチ」では、ゴム内のポリマー間の結合の一部を「共有結合」から水で脱着できる「イオン結合」に置き換え、水に触れて「水スイッチ」が働くことで、ゴム表面が柔らかくなり、ウエット路面でグリップ性能が向上する。
 2つ目の「温度スイッチ」では、ゴム内のグリップ成分の一部をポリマーから切り離しても機能する材料に置き換える新発想を採用。常温ではスタンダードサマータイヤと同等の剛性感を持ちながら、低温になると「温度スイッチ」が働くことで、氷上路面でも柔らかくグリップする。
 「これら2つのスイッチを組み合わせることでドライ・ウエット・氷上・雪上などの、あらゆる路面で高い性能を発揮することが可能となった」(田中氏)
 また、パターンデザインに、最新のノイズシミュレーション技術を活用し、低ノイズと高い排水性・排雪性を両立させるⅤ字溝設計を新開発。形状の異なる2種類のブロックをデザインし、周上の配列をランダムかつ最適な並び方にすることで、タイヤから発生する周波数をコントロールし、スタンダードサマータイヤと同等の静粛性能も実現した。
 さらに、摩耗予測シミュレーションを活用し、溝の角度、深さ、サイプなどを最適化させ、接地面全体を均一にすることで摩耗量を減少された事により、耐摩耗性能もスタンダードサマータイヤと同等以上とした。
 また、高速道路冬用タイヤ規制でも走行可能な「スノーフレークマーク」に加え、国連規定で定められた氷上性能の基準をクリアしたタイヤを表す「アイスグリップシンボル」も刻印されている。同社調べではあるが、アイスグリップシンボルが刻印されたオールシーズンタイヤは世界初になるという。
 最後に田中氏は「従来のオールシーズンタイヤはカバーする

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