ハイケム、中国ベンチャー企業と提携 海洋分解性プラの販売代理権獲得

2024年07月26日

ゴムタイムス社

 ハイケムと北京微構工場生物技術有限公司(以下PhaBuilder)は、PhaBuilderが製造する海洋でも分解するバイオ由来の生分解性プラスチックPHA(Polyhydroxyalkanate ポリヒドロキシアルカノエート)関連製品の、日本市場における販売代理店契約をこのたび締結したと発表した。
 PHAとは、微生物由来のバイオマスプラスチックで、微生物の働きにより最終的に水とCO2に分解する生分解性プラスチック。土壌、コンポスト状況下で生分解するのはもちろんのこと、海中においても生分解性を有することから、海のプラスチックゴミ問題の解決策として注目を集めている。
 今般ハイケムが提携したPhaBuilderは、清華大学の陳国強教授により2021年に設立された。同社は、過去30年以上にわたり清華大学が蓄積してきた「次世代バイオテクノロジー」システムを使用して、安価で様々な種類のPHA製品を生産している。
 現在、自社ブランドとして「PHALife」や「PHAmily」などのラインナップを展開しており、各種PHAを組み合わせることで新規用途の開発に注力している。直近では、PHA100%でのラミネートグレードの製品を開発し、紙などの材料と組み合わせることで、完全海洋分解性を有する様々なタイプの製品の試作が実現している。PhaBuilder社は更に自社の開発力を活かし、繊維、医療用途、子供用玩具、使い捨て容器など幅広い応用分野において海洋で分解する製品の開発に注力している。
 PhaBuilderの製造体制についても今後さらなる拡張を予定しており、北京の工業園区及び湖北省宜昌市に年産1万tのプラントを建設予定で、5年以内に3~5の大規模プラントを建設予定となる。
 ハイケムは2019年よりポリ乳酸(PLA)の世界最大のメーカー豊原集団と事業戦略パートナーシップ契約を締結し、PLAを始めとする生分解性材料やバイオ材料の日本市場の開拓を行っている。また、2021年にはトウモロコシ由来の新しいPLA繊維として自社ブランド「HIGHLACT(ハイラクト)」を発表した。直近では、欧米での営業活動を活発化させており、ポリエステルの代替としてのPLA繊維のグローバルな普及に努めている。
 更に、カーボンリサイクルにつながる、CO2由来の繊維の開発にも取り組んでいる。2020年にはNEDOのプロジェクトとして、CO2を原料とするパラキシレン製造に関する開発に着手しており、ハイケムは当研究の触媒開発を担っている。またポリエステルのもう一つの原料となるエチレングリコールについては、ハイケムが保有するSEG技術をベースに、CO2由来のグリーンSEGの商業化に取り組んでいる。
 今般の提携により、PhaBuilderが開発する革新的なPHA材料について、ハイケムがこれまで培ってきたグリーンプラスチック分野における先進的な取り組みのシナジー効果を発揮させることで、グリーンなプラスチックや繊維の世界的な応用と発展を推進していく。

左:専務取締役貿易本部長 林勁松氏、右:PHA Builder社 徐絢明董事長

左:専務取締役貿易本部長 林勁松氏、右:PHA Builder社 徐絢明董事長

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