東レら、NEDO事業として採択 未利用資源活用エコシステム構築事業が

2024年07月30日

ゴムタイムス社

 東レは7月29日、王子HD、バッカス、日揮HD、ENEOSマテリアル、大阪ガス、同社の6社が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」に対し、「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」(以下本プロジェクト)を共同提案し、実施予定先として採択されたと発表した。
 本プロジェクトは、経済産業省が定める「バイオものづくり革命推進事業研究開発計画」に基づき、化石資源を原料とした既存の製造プロセスから、バイオマスをベースとした製造プロセスへと転換することを目指すものである。持続可能な原料の開発、微生物の育種、培養・分離・精製・加工プロセスの開発および生産実証を一貫して実施するという目標のもと、6社がこれまでに培ってきた知見や技術を結集し、原料・微生物・素材等に関わる技術開発を行い、多種多様な技術や製品の社会実装を目指す。
 具体的には、製紙工場等が持つインフラを有効活用することで木質等の未利用資源の安定供給を実現し、さらに統合型バイオファウンドリ事業者や製品の製造を担う事業者がコンソーシアムとして連携・実証を行うことで、世界に先駆けて未利用資源によるバイオものづくりのエコシステムを構築していく。
 本プロジェクトの事業期間は2024年度から2031年度を予定しており、各社の取り組むテーマは以下の通り。
 王子HDは、次代を担う中核事業構築の一環として、「木質由来の新素材開発」を進めており、バイオものづくりの基幹材料となる木質由来「糖液」に加えて、「エタノール」や「ポリ乳酸」の開発にも他社に先駆けて取り組んできた。本プロジェクトでは、木材から、社会的課題を解決する素材の開発および工業化に向けた生産実証・製品化検討を行う。また、幹事会社として本プロジェクトを主導する。
 バッカスは、バイオテクノロジーの知見・技術と、データサイエンス等のデジタルテクノロジーを融合して、有用物質を効率的に生産するスマートセルの創出を担うプラットフォーマーとしてバイオファウンドリサービス展開を進めてきた。本プロジェクトでは、木質等の未利用資源を有効活用できるスマートセルを創出できる「微生物開発プラットフォーム」を確立することを目指す。そして、共同提案者の開発加速による実証を通じて、社会実装を進める。
 日揮HDは、ライフサイエンス分野の知見とエンジニアリング技術を融合し、現在、バッカスと共に微生物の開発・改良から培養槽のスケールアップ、生産プロセスの開発までをワンストップで手掛ける「統合型バイオファウンドリ」の構築を進めている。本プロジェクトでは、木質等の多種多様な原料、微生物、プロダクトに対応したデータ駆動型の生産プロセス開発基盤を確立し、共同提案者のバイオものづくりプロセス開発に貢献するとともに、「バイオものづくりプラットフォーマー」としてバイオものづくり産業の普及推進に取り組む。
 ENEOSマテリアルは、ENEOSグループの機能材事業を担う中核事業会社として、合成ゴムをはじめとする高機能素材を製造し、販売している。カーボンニュートラルの実現に向けて社会全体の温室効果ガス排出を削減するため、バイオ原料やリサイクル原料を使用した製品、環境配慮型先端素材の開発・製造・販売に取り組んでいる。本プロジェクトでは、未利用資源由来バイオエタノールからのブタジエン変換技術の開発および工業化に向けた社会実証を行う。
 大阪ガスおよびそのグループ会社は、バイオガス製造プロセスの開発等を通じて蓄積した独自の発酵技術を活用し、ハロモナス菌を用いて糖類から天然由来ケトン体を生産し、販売している。本プロジェクトでは、ハロモナス菌を用いた国内でのBHBの生産実証、ヘム鉄およびブタノールの生産開発や実証を行う。
 同社(東レ)は、持続可能資源からのポリマー製造を目指し、タイ澱粉工場で排出されるキャッサバ芋絞り粕からの糖製造技術、および、ナイロン66原料となるアジピン酸の中間体を糖から生産する独自微生物の開発に取り組んできた。本プロジェクトでは、キャッサバパルプ等から繊維・樹脂製品へのサプライチェーン実現に向け、これらの技術融合とスケールアップ実証を推進する。

未利用資源を活用した「バイオものづくりエコシステム」」

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