企業特集 近海郵船 24年物流問題に船舶輸送提案 内航海運のメリット等を訴求

2024年08月27日

ゴムタイムス社

 国内主力船社の1社である近海郵船㈱は、2024年の物流問題を機に、顧客の物流効率化を進めるため、内航海運へのモーダルシフト対応を加速していく。同社の松谷淳司営業企画部長に、同社の強みや2024年の物流問題への対応などについて聞いた。

■近海郵船の概要は。
 当社は1923年に創業し、2023年で創業100周年を迎えた。内航・近海の海上運送業や貨物利用運送事業、倉庫業の3つの事業を展開する。航路は、北海道から沖縄までの4つの航路網を構築し、一貫輸送の体制を確立している。また運航船隊は全部で9隻。内訳はRORO船8隻で、コンテナ船1隻となる。

■近海郵船の強みは。
 ひとつは、北海道から沖縄まで全国に航路を持っていることだ。具体的なRORO船の航路として、常陸那珂~苫小牧、敦賀~苫小牧、東京~大阪~那覇、敦賀~博多があり、北海道・関東・関西・中京・九州・沖縄の主要都市を結ぶ航路を運営している。2つ目が自社でトレーラーを保有することで一貫輸送が可能な点だ。トレーラーの保有台数は1350台。そのため、様々なニーズに応えた輸送ができることも強みになっている。そのほかの強みとして、国内最大級のRORO船を配船し定時運航率が95%と安定した運航を行っていることや、環境保全と安全運航に力を入れISO14001を取得していることだ。

■プラスチック・ゴム業界の事例について。
 プラスチック・ゴム企業では、直接や間接含め、タイヤメーカー様や自動車部品メーカー様との取引関係がある。国内のタイヤメーカー様は長年お付き合いいただいている実績がある。陸上の災害に対し、安定した輸送ができるため、BCP対策で活用されるお客様もいる。

■2024年物流問題の対応は。
 2024年物流問題で労働時間の規制により陸上輸送で今まで輸送できていたものが出来なくなったり、安定した輸送が出来なくなったりするなど制約を受ける中、海上輸送を活用することで、従来通りの輸送が可能になる。トラックでは有人無人どちらも乗船可能だ。また、当社は陸上輸送で協力会社とともに、海陸一貫で手配できる。さらに海上輸送のイメージだと時間がかかると思われるが、当社の航路はほぼすべての航路で、3日目での輸送が可能になる。お客様が考えられている以上にリードタイムは短いのではないか。

■環境面へのメリットは。
 環境面で考慮すると、全線トラックで運ぶより、船はCO2の排出量の削減にも寄与する。国交省の発表(2022年度試算)によると、1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2の量は、トラック(営業用貨物車)が208gであるのに対し、船舶は43gで約1/5になっている。貨物輸送の方法を転換することで、船舶利用なら約80%もCO2排出量を削減することができる。このことから環境対策として内航海運へのモーダルシフトは有効だ。

■最近の動向について。
 当社は工業製品をはじめ、雑貨、食品など多岐に渡り対応できる。RORO船は貨物を積んだトラックやシャーシごと輸送する船舶のため、自走できるもの、トレーラーに詰める積めるものであれば、何でも対応できると言える。最近では、乗用車(新車)、中古車、工事用の建機や農機具の他、生活雑貨・建材なども増えている。2024年物流問題を機に海上運送をぜひ活用していただきたい。

松谷部長

松谷部長

 

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