ソディックが3Dプリンタ刷新 メンテナンス頻度を大幅削減

2024年08月08日

ゴムタイムス社

 ソディックは8月6日、造形と切削の複合加工機能を有するリニアモータ駆動精密金属3Dプリンタ「OPM250L」のモデルチェンジを行い、さらなる長時間高速安定造形、多品種粉末対応、稼働率向上を実現させた新製品「OPM250L+(プラス)」を開発、2024年11月より販売を開始すると発表した。
 「OPM250L+」は、金属粉末の溶融凝固による3D造形と、造形物への切削加工を1台の機械で行うことができる金属3Dプリンタで、従来機「OPM250L」から大幅な機能向上を図った。ユーザーの声を反映し、機械構造、各機能を刷新。「安全性強化」「高品質造形」「高速造形」「長時間連続造形」「メンテナンス性向上」「複数粉末対応」「トラブル未然回避」「視認性、操作性向上」に対応した。
 「OPM250L+」の主な特長として、2つのレーザーユニット(デュアルレーザー)をオプションにて搭載でき、高速高品質造形およびモニタリングによる予知保全・ヒューム処理能力向上によるメンテナンス頻度の大幅削減を実現した。また、同社の高速造形 金属3Dプリンタ「LPM325S」に搭載している、粉末材料の供給・回収・ふるいを自動で行うMRS(Material Recycle System)と同一のユニットを「OPM250L+」でも採用。カートリッジ式MRSの簡単な交換作業で、複数の多彩な金属粉末造形に対応が可能になる。
 同製品の実機については、11月5日に同社本社にて開催予定の「ソディック金属3Dプリンタプライベートショー」にて発表予定。価格はオープン価格とし、国内外において生産目標台数は年間5台としている。
 「OPM250L+」の特長として、同社の高速造形 金属3Dプリンタ「LPM325S」に搭載しているMRSと同一のユニットを「OPM250L+」でも採用しており、アルミやチタンといった粉末材料にも対応できる。また、材料交換は粉末毎にMRSを付け替えるだけで2時間以内に完了し、複数の粉末による運用も1台の設備で短時間に対応可能となっている。このMRSは「LPM325S」とも共用可能となる。
 定期メンテナンスの主目的であるレーザ加工時に発生する金属蒸気の集積物(ヒューム)の除去・清掃用のヒュームコレクタを自社開発。また、造形室内の解析結果と実証による気流最適化により、稼働中の集積物の回収能力を大幅に向上・最適化し、集積物自体を溜まりにくくすることで、従来機に比べメンテナンス頻度を約1/2と大幅に削減した。また、機械構造自体の最適化による作業の集約化と簡素化を図ることで、メンテナンスに要する時間の大幅な短縮を実現し、生産性の鍵となる“稼働率”の向上を図っている。
 また、「造形モニタリング」機能を搭載し、造形物の状態や各部の稼働状態を高度なセンシング技術で常時監視する。各データは NC 画面でグラフ化し、ロギング、エラー閾値(注意、警告)管理をすることで造形異常の原因となる各要因を常時モニタリングし、造形不良を未然に防止する。また同モニタリング機能により造形状態の履歴を残すことも可能となる。
 オプションとして不活性ガス環境にて金属粉末を投入できるグローブボックスを用意。作業者も金属粉末に曝露することなく安全に運用することが可能で、MRSと接続することで、グローブボックスから直接機械へ金属粉末を投入することが可能となる。
 同社開発の「Material Trial Unit A/B」(オプション)では、アタッチメントを取り付けるだけで、様々な粉末材料の試験造形が可能となっている。30分程度で材料を交換できるだけではなく、少量の材料で試験造形が可能となり試験造形の低コスト化を図ることができる。
 レーザ発振器を2台搭載するデュアルレーザ仕様もオプションで設定できる。従来機と比較して約2割造形室容積を低減し、最適な気流構造と低酸素濃度環境を実現したことにより、長時間の安定造形が可能になるだけでなく、平均的速度向上と高品質造形の両立を実現している。
 メルトプールモニタリングのオプションでは、造形状態を間接的にモニタリングする従来の造形モニタリング機能に加え、メルトプールモニタリングによる直接的なモニタリングを併用することで更なる造形品質向上が可能になる。

「OPM250L+」の外観

「OPM250L+」の外観

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