旭化成エレクトロニクスがガスセンサー開発 高精度な冷媒リーク検出を実現

2024年08月30日

ゴムタイムス社

 旭化成エレクトロニクスの子会社であるセンスエア社は8月29日、欧州市場を中心に空調機器の冷媒としての利用の急拡大が見込まれるR290(プロパン、C3H8)の検出が可能なガスセンサー「Sunlight R290」を開発し、本年9月より量産出荷を開始すると発表した。本製品は高度な安全性と精度を兼ね備え、強燃性冷媒であるR290を使用する空調機器の安全な運用を支援する。
 空調機器の冷媒については、特に欧州において、PFAS規制や既に取り組みが始まっているFガス(フルオロカーボン類)規制により、これまで広く使用されていたR410A、R134aなどのハイドロフルオロカーボン系冷媒から今後はR290などの自然冷媒に切り替わっていくと考えられている。これらの冷媒はオゾン層への影響の小ささ、地球温暖化係数(GWP)の低さ、冷却効率の点で優れているが、一方で可燃性が高い(強燃性)という特性もあり、冷媒が漏れてしまった場合の燃焼や爆発のリスクを低減させる必要がある。空調機器の安全規格であるIEC 60335-2-40 edition7でも、冷媒ガス漏れ検知機能が要求されており、ガスセンサーの搭載が進んでいる。
 新製品Sunlight R290はLED光源とフォトダイオードセンサーを用いたNDIR技術を採用しており、ほとんど熱を発生させない。このため強燃性のR290を冷媒に使う場合でも、高い安全性を保ちながら運用できる。また、検知の際に振動や干渉ガスの影響を受けにくく、ロバスト性や信頼性の高い測定が可能であり、IEC60335-2-40規格の厳しいリーク検知要求を満たしている。加えて、経年で変化するセンシング特性を自動で補正する「自己補正アルゴリズム(ABC:Automatic Baseline Correction)」を備えており、メンテナンスの頻度を低減する。Sunlight R290は、2024年9月より量産出荷開始を予定している。

新製品ガスセンサー「Sunlight R290」

新製品ガスセンサー「Sunlight R290」

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー