販売数量増加で増収8社に 原料11社のゴム関連部門

2024年09月12日

ゴムタイムス社

 合成ゴム・化学メーカーの25年3月期第1四半期決算(クラレは24年12月期第2四半期連結決算)から、合成ゴムやエラストマー原料を手がける化学部門の現況をピックアップした。売上高では8社が増収。自動車用途の需要回復など販売数量が増加した企業で多くの企業が増収となった。また、利益面では販売数量の増加に加えて、交易条件も改善などにより、増益企業が目立った。
 ◆日本ゼオン
 エラストマー素材事業の売上高は602億4800万円で同15・3%増、営業利益は37億7300万円で同53・1%増となった。第1四半期について「合成ゴムの需要は底堅い。ただ、徳山工場の定期修繕を控えた出荷調整の影響で対前期比の出荷量は減少した。ラテックスや化成品は緩やかながらも需要は回復した。売上高や営業利益は合成ゴムが牽引し、対前年同期、対前期とも増収増益となった」(同社)。
 ◆三井化学
 エラストマーや複合材料が含まれるモビリティソリューションセグメントは、エラストマーが自動車用途中心に販売数量が増加した。また為替差による交易条件も改善した。ただ、一時的な需給緩和に伴う交易条件の悪化と拡販に向けたコスト等が増加した。ミラストマ―などが含む機能性コンパウンドは、自動車用途関連の販売は前年並みに推移したほか、価格改定および為替差による交易条件が改善した。その結果、売上収益は1439億円で同12・9%増、コア営業利益は157億円で同27・6%増となり、増収増益となった。
 ◆住友化学
 エネルギー・機能材料の売上収益は680億円で同7・4%減、コア営業利益は37億円で同23・3%増となった。正極材料の原料金属の市況が低水準で推移した。また、アルミニウムの出荷が減少した。一方、前年同四半期低調であった自動車関連用途の出荷は増加した。
 ◆旭化成
 基礎原料やポリマー、合成ゴム、エラストマーなどが含まれる環境ソリューション事業の売上高は1469億円で同26・4%増、営業利益は99億円(前年同期は7億円の損失)となった。うち、基盤マテリアル事業の売上高は880億円で同32・9%増、営業利益は61億円(同51億円の損失)となった。基盤マテリアル事業における交易条件の改善や石化市況の上昇により前年同期比で増益となった。合成ゴム(SSBR・BR)・エラストマー事業の24年度第1四半期は数量は伸びたものの、交易条件が悪化した。
 ◆UBE
 パフォーマンスポリマー&ケミカルズ事業やエラストマー事業が含まれる樹脂・化成品の売上高は709億円で同16・4%増、セグメント利益は1億円(前年同期は15億円の損失)となった。ナイロンポリマー・カプロラクタムの需要が海外を中心に回復したことにより販売数量が増加し、販売価格も増加した。その結果、樹脂・化成品事業は増収増益となった。ナイロンポリマーは、海外で食品包装フィルム用途の需要が回復したことで、販売数量ならびに販売価格も増加した。
 ◆デンカ
 エラストマー・インフラソリューション部門売上高は291億9900万円で同4・4%増、営業損失は1億7100万円(前年同期は営業損失7億900万円)となった。クロロプレンゴムの販売数量は概ね前年並みで推移した。このほか、農業・土木用途向けのコルゲート管やセメントの販売は前年を上回り、特殊混和材は概ね前年並みとなった。
 ◆東ソー
 クロロプレンゴム(CR)の売上高(4~6月)は増収増益となった。クロロプレンゴムは需要回復により出荷が増加し増収となったほか、販売数量の増加により増益となった。
 ◆クラレ 
 イソプレンの売上高は375億3800万円で同18・1%増、営業損失は40億2500万円(前年同期は27億300万円の損失)となった。自動車用途などを中心に需要が回復し、販売数量が増加した。 耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉は、堅調な自動車用途に加え、電気・電子用途でも需要が回復し、販売数量が増加した。
 ◆信越化学工業
 シリコーンやセルロース誘導体などが含まれる機能材料事業の売上高は1067億円で同1・3%減、営業利益は267億円で同4・4%増となった。
 ◆ダイキン工業
 フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心とした広範囲での需要回復遅れ、それに伴う流通在庫調整の動きなどがあったが、為替のプラス効果により売上高は前年同期並みとなった。フッ素樹脂は、LAN電線分野や半導体装置向け材料分野での市場回復の遅れなどにより販売が落ち込んだものの、為替のプラス効果により売上高は前年同期を上回った。
 一方、フッ素ゴムについては、自動車分野等での流通在庫調整の影響により、売上高は前年同期を下回った。
 ◆大阪ソーダ
 機能化学品の売上高は77億9900万円で同20・3%増となった。合成ゴム関連では、自動車生産台数の回復に伴いエピクロルヒドリンゴムの販売数量が増加したことに加え、国内外でアクリルゴムの新規採用が進んだため、売上高は増加した。

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー