島津製作所が培養最適化支援ソフト発売 24年内にリカーリング事業開始

2024年09月05日

ゴムタイムス社

 島津製作所は9月4日、同日にAI(人工知能)が最適な細胞培養条件を選ぶ培養最適化支援ソフトウェア「CellTune」を発売すると発表した。
 同製品は、液体クロマトグラフ質量分析計(LCーMS)および「LC/MS/MSメソッドパッケージ細胞培養プロファイリングVer・3」で培養上清液を分析したデータを基に培地組成や培養環境などについて最適条件を提案する。
 同社は2022年2月からAIスタートアップであるエピストラと培養条件の最適化ソリューション開発に取り組んできており、このたび培養上清液中の144成分を同社製LCーMSで分析したデータから培養結果への影響が大きいパラメータを抽出する「特徴量抽出モジュール」と、最適な培養条件を提案する「AI自動最適化モジュール」から成る「CellTune」を開発した。
 エピストラは、製薬企業や受託製造企業、微生物発酵技術を持つ食品メーカーなどに「CellTune」を用いた培養条件の最適化コンサルティングサービスを同日から提供する。同社のグループ会社である島津ダイアグノスティクス(SDC)は、細胞培養関連の試薬や培地などを製造している。
 同社およびSDCは、「CellTune」が提案する培地などを提供するリカーリングビジネスを2024年内に立ち上げる。同社は今後、細胞画像やLCーMS以外の装置による計測結果もパラメータに加えて、「CellTune」を中心とした細胞培養支援技術・製品を開発していく。
 新製品の特長は、統計解析の知識がなくても解析結果を取得可能という点、イメージしにくい最適条件を提案するという点、効率的に実験条件を探索するという点となる。
 培養上清液をLCーMSで分析したデータから培養成績への影響が大きい培地成分を統計解析により抽出する。解析に必要な各処理プログラムをソフトウェア上で連結させた状態(解析レシピ)で提供するので、解析レシピと解析パラメータを設定するだけで重要成分抽出などの解析結果を取得できる。
 同製品の「AI自動最適化モジュール」は複数成分を一括で検討できるため、全体最適のパラメータを得られる。
 「CellTune」が提案する実験条件とそれに従った再実験の結果(培養成績のデータ)を「CellTune」に入力すると、ソフトウェアが培養成績の予測モデルを生成して、そのモデルに基づいて次回の実験計画を提案する。データ入力量に応じて予測精度が向上するため、実験を重ねると業務効率が高まる。

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