住友化学は9月5日、100%子会社である韓国の東友ファインケムにおいて、次世代通信関連製品「ガラス透明LEDディスプレイ」を実用化し、同国内で販売を開始したと発表した。
タッチセンサーなどディスプレイ材料で培ってきた微細加工技術を応用する新事業として、20年代後半に数十億円規模の売上収益を目指す。同社グループは、ICTソリューション&モビリティ事業を成長ドライバーの一つに位置付けており、独自技術を活かした製品ラインアップおよび事業領域の拡大へ積極的に取り組んでいく。
「透明ディスプレイ」は、透明な樹脂やガラスの基板に光源を配置した表示デバイスのことで、画面に表示されている内容を視認しながら、同時に背景も透過して見ることができるという特長を持っている。
従来型ディスプレイとの大きな違いは、周囲の景観や視界を妨げずに設置できる点となる。そのため、電気自動車などの次世代モビリティ部材、商業ビルなどの建材など、幅広い用途での市場創出が期待されている。
このたび、同社グループが実用化したガラスタイプの透明LEDディスプレイは、東友ファインケムが従来から手がけるタッチセンサーなどで培われた独自の微細加工技術を生かすことにより、高い透過率と高解像度の映像提供を実現した。
また、ガラスタイプを採用することで、フィルムタイプの製品と比べ、衝撃などの物理的な損傷や燃焼などの化学的な損傷にも強い耐性を実現した。顧客ニーズに合わせたさまざまなデザイン設計が可能となる。
東友ファインケムは、韓国において本年からEVバスの車窓に搭載する広告用ディスプレイの販売を開始しており、今後は、モビリティや屋内外の標識、建物外壁など、多様な用途への展開を予定している。
同社グループは、これからもスマート社会の実現を目指し、革新的なディスプレイ材料や高速通信アンテナ材料など、次世代通信技術の発展に寄与するソリューションを提供していく。
2024年09月06日