デンカが大船工場稼働停止 トヨカロンはシンガポールに集約

2024年09月10日

ゴムタイムス社

 デンカは9月9日、同日開催の取締役会で26年3月末を目途に神奈川県鎌倉市の大船工場の稼働停止を決議した。
 大船工場の主力製品「Toyokalon(トヨカロン)」については、シンガポール子会社の Denka Advantech Pte.Ltd.South Plant(DAPL)に事業を集約する。「カラリヤンYフィルム」および「カラリヤンテープ」は、事業撤退する予定にしている。
 大船工場は1949年に旧東洋化学として塩ビ樹脂加工製品の製造を開始後、1952年には世界に先駆けて塩ビ繊維の工業化に成功し、現在はファッション用ウィッグの原糸として「Toyokalon」を製造してきた。
 また、1976年にはポリエチレン横延伸フィルムのカラリヤンYフィルムおよび同フィルムを複合した包装用粘着テープ、カラリヤンテープの製造を行うなど、押出成型加工技術と粘着塗工技術を礎にこれまでさまざまな樹脂加工製品を製造してきた。
 しかし、Toyokalonは、販売面ではトレンドシフトによる需要構造の変化に加え、コロナ禍以降、主要販売地域であるアフリカ経済の停滞により需要が低下している。コスト面においても原料価格高騰や固定費の増加により、厳しい収益状況にある。また、主に包装材として使用しているカラリヤンテープについては、簡易包装化の影響により販売数量が減少しており、今後の事業の維持・成長が見込まれず、同テープの原料の一部でもある「カラリヤンYフィルム」についても単独による事業継続が困難との結論に至った。
 Toyokalonは製造・販売・研究を DAPLへ順次移管し、2026年3月末までに大船工場での生産を停止する予定としている。DAPLでは構造改革によるコストの削減および新製品へのシフトで収益の向上を図るとともに、ラストフロンティアであるアフリカ市場への前線拠点として機能を強化することで、高収益事業への転換を進めていく。カラリヤンYフィルムとカラリヤンテープは、2026年3月末までに大船工場での生産を停止する予定となる。
 工場内設備、工場用地および営業権等については、今後の予定は未定だが、売却も含め有効活用を検討していく。
 また、大船工場の従業員については、雇用維持を最優先とし、同社グループ内での配置転換を進めていく。

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