出光興産は9月12日、京都大学発のスタートアップシンビオーブ社へ出資したと発表した。資本提携を行うことで協業を加速させ、CO2の固定化と資源自立(国産のものづくり)に貢献する可能性を持つ微生物「海洋性紅色光合成細菌」の大量培養技術の確立と早期の社会実装を推進する。
同社は本年6月にシンビオーブ社とバイオ・ライフ分野における新規事業創出に向け、協業を開始した。今回、より強固な連携と計画中の実証設備導入を推進する狙いで出資を行った。協業では、「海洋性紅色光合成細菌」の社会実装に向けた大量培養を目指す。
「海洋性紅色光合成細菌」は、光エネルギーを受けると海中のCO2(二酸化炭素)とN2(窒素)を取り込み、体内に固定する性質を持つ。CO2やN2を吸収した細菌は肥料や飼料、繊維など広い分野に活用することが可能で、海に囲まれた日本の地の利を生かしたバイオものづくりに寄与する。国産のグリーン資材や有機原料の普及につながる同技術は、化石資源依存からの脱却など地球規模の社会課題解決と経済成長を両立する革新的な取り組みとして期待されている。
社会実装に向けては、大量培養技術の確立が課題のひとつとなる。微生物開発に高い知見を持つシンビオーブ社と、石油化学で培ったプロセス技術およびスケールアップノウハウを持つ同社の強みを生かし、「海洋性紅色光合成細菌」の大量培養技術の確立および社会実装を推進する。
今後は、最初のベンチプラントを同社グループである西部石油の敷地内に建設し、2025年7月から量産化に向けた実証試験を開始する予定となる。その後、スケールアップを段階的に行い、2030年までの商業化を目指す。
2024年09月13日