信越化学工業は、業界初(24年8月時点)のバスバー被覆用の熱収縮シリコーンゴムチューブ「ST-ORタイプ」を開発した。
バスバーとは、銅やアルミニウムなどの金属でできており、電源の接続や分配に使用される導体棒。配電盤や制御盤のみならず、近年では電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)向けに需要が拡大し、さまざまな用途に使用されている。
バスバーには高電圧で大電流が流れるため、テープやチューブなどの絶縁部品が用いられている。中でもEVやHEVで使用されるバスバーはさらなる高電圧化、大電流化が進んでいる。このため、電気絶縁性や耐熱性などの特性がさらに優れた絶縁部品が求められている。
同社のバスバー被覆用熱収縮シリコーンゴムチューブ「ST-ORタイプ」は、これらの要求に応える製品として開発した。
ST-ORタイプ主な特長としては、①シリコーンならではの高い電気絶縁性を発揮(絶縁破壊の強さ:28kV/mm)。②耐熱性、耐寒性に優れ、厳しい環境下でも安定した性能を発揮(使用温度範囲:マイナス40℃~プラス200℃)。③外観は明るいオレンジ色で、高圧ケーブルの代替にもなるバスバーの絶縁被覆に適している。
④加熱収縮後もシリコーンゴムの持つしなやかさを失わない。⑤放熱用途として、熱伝導性(1・0W/m・K)と電気絶縁性を兼ね備えた「ST-TC-1タイプ」もラインアップしている。同タイプは、発熱部位に被覆し、熱を筐体に伝える用途に適している。
なお、熱収縮シリコーンゴムチューブは、対象物に被せて熱を加えることで簡単に収縮し、電気絶縁性や耐熱性に優れたシリコーンゴムを被覆させることができる。バスバーの絶縁被覆に用いることで、配電システムの信頼性向上やバスバー加工工程の省力化や短縮化に貢献する。
同社では、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かして付加価値の高いシリコーン製品を開発・供給することで、顧客のさまざまな課題解決に努め、持続可能な社会の実現に貢献していく。
2024年09月18日