偽造防止プラットフォームを 旭化成が美術品真贋鑑定で活用開始

2024年09月25日

ゴムタイムス社

 旭化成は9月24日、TISと共同で構築した偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」について、美術品の真贋鑑定への活用を開始したことを発表した。なお、「Akliteia」の最初の採用事例として、棟方志功作品の鑑定事業者である棟方志功鑑定登録委員会で活用されることになった。

 棟方志功は世界的に著名な芸術家であり、遺族や研究者を中心とした鑑定事業者「棟方志功鑑定登録委員会」において、真贋鑑定が行われている。

 従来の鑑定方法では、鑑定のたびに紙の鑑定書を直接作品に貼付し、証印・割印をしていたが、作品や鑑定書が偽造されたり、正規の鑑定書が剥がされて贋作に貼られたりするケースがあり、偽造対策と作品の損傷が課題となっていた。
 また、鑑定や学術研究のうえでは作品の来歴も重要だが、過去にいつ誰が鑑定したのか、膨大なデータや資料から履歴を照合することが大きな業務負荷となっていた。
 そこで、より作品保護に配慮したうえで正確に鑑定内容を照合できるよう、「Akliteia」を活用いただくことになった。ラベル自体に偽造困難性があることに加えて、作品を損なわないサイズと色合いを選べることも採用の理由となった。

 鑑定後、棟方志功鑑定登録委員会において、真正性を担保する偽造防止ラベルを作品・鑑定書・付属品(掛け軸や作品が入っていた木箱など)に貼付するとともに、真贋鑑定結果をブロックチェーンに登録し、鑑定者・鑑定日時などの付属情報を鑑定登録委員会のデータベースに記録する。
 偽造防止ラベルと真贋判定デバイスを用いた判定により、作品・鑑定書・付属品の真正性が永続的に担保されることとなる。また、ブロックチェーン上の判定結果と、鑑定登録委員会のデータベースを連携することで、鑑定依頼者も保全された鑑定結果をいつでも閲覧できるようになる。

 なお、鑑定における「Akliteia」の活用スキームの特許出願は、棟方志功鑑定登録委員会と、緒方法律事務所、同社の3社共同で実施している。

 同社とTISは、鑑定業界における正確で安全な真贋判定プラットフォームの提供により、鑑定の信頼性を維持するとともに、貴重な文化財の保全に貢献することを目指すとしている。

 

作品鑑定の様子

作品鑑定の様子

真贋判定デバイスでのラベル読み取り

真贋判定デバイスでのラベル読み取り

 

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