日本触媒 国内供給体制強化へ リチウムイオン電池用電解質

2024年09月28日

ゴムタイムス社

 日本触媒は、リチウムイオン電池用電解質LiFSIの国内供給体制を強化する。LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、製品名イオネル)は、リチウムイオン電池用の電解質として使用され、電気自動車の高性能化(充電時間の短縮化、航続距離の延長、低温環境下の出力向上など)に寄与する。同社はイオネルについて、2028年の商業運転を目指し、新たな設備を福岡県に建設する計画を進めている。
 LiFSIは高純度化が困難な物質で、その生産や品質管理には高度なノウハウが必要とされる。同社はこれまで培ってきた独自の生産技術力を活かし、世界で初めて残存溶媒や副生物が少なく、安定した電気化学特性を示す高純度LiFSIの工業的生産プロセスの開発に成功した。
 同計画は経済産業省の「蓄電池等の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定。なお、投資額は最大375億円、うち供給確保計画の認定による助成金は最大125億円を見込んでいる。
 イオネル新設備の生産能力は年産3千トンで、電解質として100%使用された場合のリチウムイオン電池容量は 21・4GWhとなり、これを用いた電気自動車は21万台に相当する。
 新工場の立地場所は、物流の利便性や自然災害に対する安全性に優れ、ビジネス拠点として数多くの魅力を有する福岡県で、新たに用地を取得して建設する計画となっている。
 同社は、イオネル新設備を建設し、安定供給を行うことにより、国内の蓄電池市場におけるサプライチェーンの強化ならびに 2050年カーボンニュートラルの達成と持続可能な社会の構築に貢献していく。

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