旭化成が新会社設立 がん免疫療法研究のDRG社

2024年10月10日

ゴムタイムス社

 旭化成は10月9日、同社発のスピンアウトベンチャーとなるダイブラッドジェル(DRG 社)を設立したと発表した。
 DRG社では、新規薬物送達システム(DDS;Drug Delivery System)基剤「ソナノス」を用いたがんワクチン事業を担い、複合的がん免疫治療の医師主導治験による臨床試験入りを目指す。
 会社名はダイブラッドジェル、設立は2024年6月10日、役員は、代表取締役社長中井貴士氏、取締役副社長黒澤丈朗氏、事業内容は、ヒアルロン酸ナノゲルを用いた複合的がん免疫療法の研究・開発となる。
 「ソナノス」は、ヒアルロン酸を部分的にコレステロールで修飾した誘導体であり、水中で自己会合し、ナノサイズのハイドロゲルを形成する。簡便な方法で低分子化合物からペプチドやタンパク質まで、さまざまなモダリティの医薬品原薬を封入し、徐放化、可溶化、さらにはリンパ節への効率的輸送などの機能を付与することができる。
 現在、事業体制の確立に向け、製薬企業へのサンプル提供を通じ、新規医薬品への適用可能性を評価いただいている。また、2024年度より順次、「ソナノス」各グレードのGMP製造を開始しており、安定的な供給体制を整備している。
 DRG社は、経済産業省が支援する“出向起業”の枠組み「大企業等人材による新規事業促進事業」を活用し、同社グループ非連結会社として創業した。代表取締役社長は、ヒアルロン酸ナノゲルの発明者であり、同社リードエキスパートの中井貴士氏が務める。
 DRG社では、「ソナノス」を用いた有望テーマの一つであるがんワクチンへの適用を目指す。アカデミアとの共同研究を通じ、「ソナノス」を用いたがんワクチンは、遺伝子改変T細胞、アジュバントとの3剤併用療法(TriーCombo療法)により、難治腫瘍モデルマウスに対して革新的な治療効果を有することが示唆された。DRG社は、このような複合的がん免疫技術に関連するリソースを集約の上、研究・開発を推進し、難治性腫瘍に苦しむ患者へ新たな治療選択肢を提供することを目標としている。

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