ユニチカは10月10日、DICと高周波基板に適用可能な「特殊PPSフィルム」を共同開発した。
両社が共同開発したフィルムについてはは、DIC独自のポリフェニレンサルファイド(PPS)の重合・コンパウンド技術と、ユニチカが保有するフィルム化技術を融合することで生み出された全く新しいPPSフィルムであり、高温環境下・高周波領域でも優れた誘電特性を示すため、様々な環境においてミリ波などの次世代通信規格に対応したプリント配線板やミリ波レーダーなどの関連部材に使用することができる。
同フィルムは、PPS樹脂に由来する低吸水性・難燃性・耐薬品性や耐熱性を維持しながらも、高周波基板に要求される低誘電特性・熱収縮特性・耐リフロー性や厚みの均一性などの優れた性質を併せ持っている。特に、液晶ポリマー(LCP)などの既存フィルムでは改善が難しかった高温環境下や、幅広い周波数領域(10~100GHz)でも安定した誘電特性を示すため、自動車用途やスマートフォンなどの様々な用途展開が期待されている。
また、異素材との高い接着特性を持つため、フレキシブル銅張積層板(FCCL)の作製においても接着剤法やスパッタ・めっき法などの幅広い加工方法に対応できる。特に、スパッタ・めっき法で作製した平滑なFCCLは、LCPやフッ素樹脂などの既存フィルムより低い伝送損失を示すことが確認できている。
DICと同社が共同開発した「特殊PPSフィルム」は、優れた誘電特性を示すことから様々な用途展開が期待できる材料。すでに一部の電子材料メーカーにて評価を進められているが、今後さらに顧客との連携を強化するとともに、本フィルムの量産体制の構築を進めていくとしている。
また、開発品は10月29日~31日に幕張メッセで開催される「第15回高機能フィルム展」で出展を予定している。