エボニック、中核分野に注力 塗料・接着剤樹脂部を再編  

2024年10月22日

ゴムタイムス社

 エボニックインダストリーズは10月21日、塗料・接着剤樹脂部およびヘルスケア部の再編を行うと発表した。今後この2つの事業部では、各部の中核事業に的を絞った投資を集中的に行う。それ以外の事業については、新たな所有者に売却するか、パートナー企業との共同事業に組み入れる。いずれの場合も、社会的責任を果たす形で進めていくとしている。この再編により影響を受ける事業の売上高は合計で3・5億ユーロとなる。
 塗料・接着剤樹脂部で進めている再編については、接着剤やシーラント、タイヤ用添加剤としての液状ポリブタジエンと、医療技術や包装業界向けの特殊アクリル樹脂という2つの中核分野に注力する予定。
 同部で約1億ユーロの売上高を計上するポリオレフィン事業は、エボニックのC4チェーン事業に移管される。これにより、ドイツ・マールを拠点とする2つのユニットにおけるサプライヤーとの緊密な関係をさらに活用することが可能になるとしている。将来的にC4チェーン事業の一部として売却される予定。コーティングおよび接着剤用途のポリエステル事業は、新たな所有者に売却されることになる。同事業は、ドイツと中国に約330人の従業員を擁し、グローバルに展開している。 また、最大の拠点はドイツ・ヴィッテンにあり、約250人の従業員が働いています。上海にも従業員約30人の小規模工場があり、事業全体で年間約1・5億ユーロの売上を計上している。
 同事業を含むスマートマテリアルズ部門の責任者であるローレン・ケルセン(Lauren Kjeldsen)は、「当社は、ポリエステル事業について幅広い専門技術を有しているが、長期的に世界での競争で勝ち残り、必要なマージンを得るには投資が不可欠です。ポリエステルを中核事業とする企業なら、これをより効果的に実現できると思う」と述べている。売却先となる企業の調査は、今年中に開始する予定となっている。
 一方、ヘルスケア部については今後、成長分野であるmRNA用脂質及び遺伝子治療、ドラッグデリバリーシステム、細胞培養培地用素材に注力していく。ドイツ・ハナウで行っている医薬品用ケト酸の生産は、2025年末に中止を予定しており、その影響を受ける約260名の従業員には、エボニック内外で新たな選択肢を探せるよう積極的に支援していく。フランス・アム(HAM)および中国・武鳴県(Wuming)を製造拠点とする同事業については、戦略的に複数の選択肢について評価を行っている。近年、アミノ酸とケト酸の事業全体では、平均して約1億ユーロの売上高を計上している。

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