ハイケムと高速は10月23日、生分解性プラスチックでトウモロコシ由来のポリ乳酸(以下、PLA)と海洋生分解性プラスチックのポリヒドロキシアルカン酸(以下、PHA)をブレンドしたインフレーション成形法による新製品「PLAインフレーション成膜法フィルム」を開発したことを発表した。同フィルムは、欧州ハイブランドのスーツカバーとして採用されるなど幅広い分野での応用が期待できる製品。
軽包装資材の専門商社大手の高速と生分解性材料を幅広く取り扱うハイケムは、兼ねてより生分解性材料の開発や拡販について相互に協力、推進してきた。今般の提携により、これまで製造が困難とされていたPLAとPHAを使用したインフレーション成膜技術を開発した。
ハイケムの幅広い生分解性材料の原料調達力や開拓力に加え、高速の卓越した製品開発力及び販売力を掛け合わせて協働することで、生分解性材料を使用したインフレーションフィルム分野での新たな需要開拓を開始していく。
高速は、1966年の創業以来、軽軟包装資材分野で着実な業容拡大を続けており、1600社以上の調達先と14万点以上の取り扱い品目で、パッケージソリューションを提案している。
業界初、生分解性プラスチックフィルムの新しい加工アイデアを提供、パッケージング分野に特化し、「無ければ作る」をモットーに包装資材のみならず各種販促ツールを制作し、包装に関わる機器を販売するなど、卓越した販売力と創造力のある提案で幅広く事業を展開している。
ハイケムは中国最大のポリ乳酸(PLA)メーカーである安徽豊原集団有限公司(豊原集団)と事業戦略パートナーシップ契約を締結するなど、生分解性材料のマーケット開拓にいち早く取り組んできた。また、PLAのみならずポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)や海洋分解性樹脂(PHA)など合計7種類の生分解性材料を輸入販売する体制を構築している。また、2021年12月には、次世代のPLA素材「HIGHLACT(ハイラクト)」を発表し、アパレル向けのPLA繊維の開発にも取り組んでいる。
従来、アパレルスーツの輸送にはPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)等の汎用樹脂やバイオ素材を一部のみ使用されたフィルム製品が流通していた。今般、高速とハイケムが新たに開発した画期的な技術により、100%バイオマスかつ生分解性を有する「PLAインフレーション成膜法フィルム」が、欧州ハイブランド向けスーツカバーとして採用された。
本スーツカバーは植物由来のバイオマス樹脂をフィルム成膜するため、環境負荷低減が可能な素材として脱炭素社会に貢献する。またJBPA(日本バイオマスプラスチック協会)の生分解性バイオマスプラマークも取得している。
今般開発されたスーツカバーは黄色ブドウ球菌や大腸菌に対して強い抗菌効果を発揮し、輸送中や保管中の制菌作用も期待される。
現在、気候変動や海洋ゴミ問題などの地球全体の環境課題に対して、企業活動を通じた取り組みが必要とされる中、両社はPLAやPHAを利用した技術の開発・市場展開を行い、新たな価値創造に取り組むことで、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提案を行っている。また、持続可能な社会の実現に向けて、温室効果ガスの排出量削減と環境に貢献する製品の創出に取り組んでいる。地球環境への課題解決に向けて、サーキュラーエコノミーへの移行は必須であると認識している。石化由来原料の使用をできる限り削減し、既存の天然資源を有効活用して社会経済活動を循環するという考えのもと、広くソリューションを提案していくとしている。ハイケムは2024年10月29~31日幕張メッセにて開催のサステナブル・マテリアル展に出展予定。