デンカがスタートアップ企業に出資 光学フィルム開発企業に

2024年10月28日

ゴムタイムス社

 デンカは10月25日、ペガサス・テック・ベンチャーズと共同で運営するCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを通じて、エン・チオール系光学フィルムを開発するスタートアップ企業のAres Materialsへ出資したことを発表した。

 Ares Materialsはエン・チオールを原料としたマテリアルズ・インフォマティクスの設計デザインを開発し、それを利用して高性能な光学フィルムを生産する技術を保有しており、同社は、Ares Materialsと協業の検討を進めてきた。Ares Materialsの保有する光学フィルム製造技術は、有機溶剤や熱を使用しない独自のUV硬化プロセスで、かつ原料にはPFASを一切含有しないため、環境負荷の低減やCO2排出の削減に貢献し、低コストと光学特性を両立した光学フィルムを生産できる。

 同社は、Ares Materialsへの出資を通じて、同社独自の技術であるエン・チオール系接着「ハードロックOPシリーズ」とAres Materialsの光学フィルムとの併用によるディスプレイの表示性能の向上に向けた共同開発、ならびに市場開拓で連携を図り、フレキシブルディスプレイ分野での社会実装を目指していく。

 同社は、経営計画「Mission 2030」に基づき、世界各国の最先端技術を持つスタートアップ企業への出資や提携を行うことで新規事業創出を推進するために、昨年1月にCVCファンドを設立。CVCを通じた取り組みとして、2030年度までに最大で約1億米ドルの投資を計画している。

 同社は、これからも「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学で、人々の暮らしと社会に貢献し続けるとしている。

Ares Materials ロゴマーク

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