東洋紡は10月28日、100%植物由来のポリ乳酸樹脂を原料とする環境配慮型の二軸延伸フィルムを開発したと発表した。
同フィルムは、同社独自の製膜技術により、工業用途に求められる耐熱性や機械特性を実現するとともに、高い透明性と表面特性を有するのが特長。今後、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの代替素材として、光学フィルムや電子機器部材、離型フィルム用基材向けに展開を進めていく。
同フィルムの試作品は、10月29日~31日まで千葉県千葉市の幕張メッセで開催の「第4回サステナブルマテリアル展ーSUSMAー」の同社ブースで初公開する。
ポリ乳酸は、トウモロコシなどの植物から生産される生分解性樹脂の一種。廃棄時の環境負荷が低いことや、原料となる植物の生育過程で光合成の働きによりCO2の排出量削減に貢献することから、これまでサステナブルな素材として食品容器・フィルムなどの包装材用途を中心にさまざまな製品に使用してきた。
同社がこのほど開発したのは、独自の製膜技術による二軸延伸処理を施すことにより、工業用途に求められる耐熱性や機械特性を備えたポリ乳酸フィルムとなる。延伸加工時の条件を精密に制御するとともに、同社が光学用PETフィルムの研究開発で長年培ってきた技術を応用し、フィルム内部に粒子を含まない手法を採用することで透明性の高いポリ乳酸フィルムを実現した。また、コーティング処理によって平滑性や接着性などのさまざまな特性を持たせることもできるので、フィルムの巻き取りやすさや他素材との貼り合わせやすさ、表面処理剤の塗布しやすさなどにつながり、工業用途での幅広い加工処理に対応できる。同社は今後、製品ライフサイクルにおける環境負荷低減に貢献するポリ乳酸フィルム製品について、従来の包装材向けはもとより、これまで機器内部に含まれることなどから分離・リサイクルが困難だった工業用途向けの展開に注力していく。
「第4回サステナブルマテリアル展」の会期は10月29日~31日10時~18時(最終日のみ17時終了)、会場は幕張メッセ(「高機能素材Week」内)、ブース番号46ー26となる。