東洋紡は10月29日、10月29日~31日までの3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催される接着・接合技術に特化した専門展「第8回接着・接合EXPO」の同社ブースにおいて、“ビトリマー(Vitrimer)”と呼ばれる新しい架橋樹脂を応用して開発した異種材料接着向け「環境配慮型高耐熱接着フィルム」を展示すると発表した。
アルミとGI鋼板、ステンレスなどの金属、エポキシ樹脂やガラスといった異種材料の接着に適した同フィルムの特長について、車載部品、半導体、電子材料向けなどを視野に訴求し、早期の実用化を目指す。
「第8回接着・接合EXPO」の会期は、10月29日~31日10時~18時(最終日は17時終了)、会場は、幕張メッセ(千葉県千葉市)第3ホール「第15回高機能素材Week」の構成展として、ブースは15ー30となる。
ビトリマーと呼ばれる、樹脂の構造の一部に「結合交換性動的共有結合」を持つ新しい架橋樹脂を応用して開発した高耐熱接着フィルムは、ポリマー間の架橋状態を維持しながら熱可塑性樹脂のように圧力や熱などに応答可能なビトリマーの特性により、短時間の加熱・加圧処理を行うだけで寸法を保持したまま接着できる。また、同フィルムは製造時点で架橋反応が完了しているため、一般的な半硬化型の接着フィルムのように常温環境下で架橋が進行し硬化することがなく、溶剤フリーでありながら常温保管・輸送が可能。冷蔵保管や架橋処理に必要なエネルギーの削減に貢献できる環境配慮型の高耐熱接着フィルムとなる。
同フィルムは150℃以上に加熱することで接着が可能になるため、金属やポリイミド、PETなどの耐熱性樹脂やガラスといった、車載部品用途向けの異種材料同士の接着に利用できる。また、樹脂垂れ・はみ出しの影響が小さいという特長により、極めて狭い範囲の接着が必要とされる半導体の製造工程などにも有用となる。
同社は、2019年より、国内ビトリマー研究の第一人者である名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻(生命・応用化学領域)林幹大助教との共同研究を開始した。ビトリマーの設計・製造・評価などに関する基礎技術の研究・開発や、製品への応用・実用化に向けて取り組んでいる。
2024年10月30日