住友化学は10月29日、千葉県市原市の千葉工場における低密度ポリエチレン(LDPE)製造設備の一部(2万t/年)を2024年度内に停止することを決定したと発表した。
これまで実施してきた各種合理化の取り組みに加えて、一部設備の停止に踏み込むことで、運転を継続する設備全体の稼働率を向上させる。
LDPEは、柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐薬品性、電気絶縁性に優れる特徴を生かし、食品・農業用フィルムなどの包装材料、食品ボトルなどの成形材料のほか、電線被覆など幅広い用途で使用している合成樹脂であり、さまざまな産業や人びとの生活を支えるエッセンシャルな素材の一つとなる。
一方で、LDPEの国内需要は、人口減少や少子高齢化などにより年々縮小傾向になっており、また、今後の大幅な増加は見込みにくい状況にある。千葉工場におけるこのたびの生産体制効率化は、こうした事業環境の変化を踏まえて判断したものであり、併せて、顧客ニーズに応える、より高付加価値な分野へ製品構成の改善を実施する。さらに、先に公表した同社と丸善石油化学との合弁会社である京葉エチレンの最適化検討を含む原料競争力の強化策や残存系列の固定費削減策など、引き続きあらゆる選択肢を検討、実施していく。
同社は現在、短期集中業績改善策の一環として、事業の再構築を加速させている。これらの取り組みを着実に進めることにより、2024年度のV字回復をより確固たるものとし、抜本的構造改革に取り組んでいく。
2024年10月31日