旭化成らがインドで真贋判定 共同開発のプラットフォームで

2024年10月31日

ゴムタイムス社

 旭化成とTISは10月30日、共同で構築した偽造防止デジタルプラットフォーム「アクリティア」について、インドにおける機能性材料の真贋判定へ活用し、同月より、機能性材料メーカーであるアジア物性材料とともに真贋判定の取り組みを開始すると発表した。「アクリティア」の海外における活用は今回が初めてとなる。
 近年、サプライチェーンのグローバル化とともに輸出先における偽装が課題となっており、流通過程での偽造品混入の防止が必要となっている。一般的に海外輸出製品は、ユーザーに製品が届くまでに、輸入業者や中間業者など多くの事業者を経由するため、偽造品が混入するリスクが高まる。また、これまで「アクリティア」は主に最終製品の真贋判定に採用されていたが、製造過程で使用する原材料や間接材料についても偽造品の流通が問題となっており、偽造品の混入による完成品の品質低下や歩留まりの低下が懸念されることから、サプライチェーン全体での対策の重要性が高まっている。

 アジア物性材料では、ダイヤモンドの加工プロセスにおいて使われる機能材料(セレン)を販売している。セレンは、ダイヤモンドの原石を加工する工程で、原石をスキャンする検査において使われる。精密な検査によって内包される不純物などの位置などを把握することで、効率よくダイヤモンドを得ることができる。セレンの品質は検査の精度に影響し、加工効率が大きく変化するため、高純度グレードは高価格で取引されており、正規品のパッケージを模造した偽造品が多数発生していた。
 純度の低い偽造品を使用すると、検査の精度低下により原石加工時に採取できるダイヤモンドの量が減少し、純正品のブランド価値毀損につながる恐れがあるため、このたび、偽造品対策として同社の「アクリティア」活用が決定した。
 アジア物性材料において、出荷するセレンに偽造防止ラベルを貼付した後、販売先となるインドの輸入事業者において、流通情報をブロックチェーンに登録したうえで中間業者に販売する。複数企業の製品を扱う中間業者で他社の偽造品が混入したとしても、最終的にセレンを使用する加工業者にて使用前に真贋判定を行うことで、純正品を識別することができる。

 両社は、正確で安全な真贋判定プラットフォームの提供により、偽造品を排除し、グローバルな取引における信頼性を守ることを目指す。

パッケージ偽造左純正品、右偽造品

パッケージ偽造左純正品、右偽造品

真贋判定の様子

真贋判定の様子

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