ひたちなか市、東海村、ひたちなか・東海広域事務組合および積水化学工業は10月30日、積水化学と地球環境産業技術研究機構が進める「バイオものづくり技術によるCO2を原料とした高付加価値化学品の製品化」について、ひたちなか・東海クリーンセンター(クリーンセンター)を実証先とする協定を同日締結したと発表した。
地球温暖化や環境問題が深刻化する中、カーボンニュートラル社会の実現は重要な課題の一つであり、世界中で温室効果ガスの削減に向けたさまざまな取り組みが行われている。その中で、バイオものづくり技術を利用したカーボンリサイクルは、バイオマス資源や温室効果ガスであるCO2を原料とし、化学品などを生産する取り組みであり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた有力な選択肢の一つである。
積水化学は、CO2をCOへ90%という高い転化率で変換する技術を開発し、CO2回収と利用に関わる技術(CCU)開発を進める中で、廃棄物処理施設において技術開発に必要なユーティリティーが確保可能な実証先の選定を行い、その候補の中から、焼却熱を利用したサーマルリサイクルや溶融スラグを活用した茨城県リサイクル建設資材評価認定制度への登録など環境問題に取り組んでいる、クリーンセンターでの実証実験が最適であると判断した。
ひたちなか市と東海村は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギー導入事業や省エネルギーの推進、3Rの推進、環境教育の充実など積極的な取り組みを行っている。そのような中で、積水化学よりクリーンセンターでの実証実験の打診を受けたため、ゼロカーボンシティを表明している自治体として、クリーンセンターを運営管理するひたちなか・東海広域事務組合とともに、全面的に協力することとした。
2025年に、ひたちなか・東海クリーンセンターの敷地内において、同施設から排出される燃焼排ガスからCO変換を可能とする前処理プロセスのプラント着工を予定している。
2026年度以降、燃焼排ガスからCO2を濃縮し、ケミカルルーピング反応技術を活用したCOを製造する。そのCOから芳香族化合物を高効率に生産する技術(CO→ポリマー原料変換)などと融合させ生産プロセスの検討を行う。その後、スケールアップ検討を行い、2030年に年間33tのCO2を利用した実証を開始する予定となる。