ブリヂストンは11月1日、アストロボティックテクノロジー社と月面探査車向けタイヤ開発の協業契約を締結したと発表した。
90年以上にわたるタイヤ開発を通じて世界の道を知る同社は、その知見を活かし、2019年から月面探査車用タイヤの研究開発に取り組んでいる。これまでに第1世代と第2世代のタイヤコンセプトモデルを開発し、地上走行試験やシミュレーションを重ねてきた。この活動を通じて、パートナーに「自ら極限へ挑戦する姿」を示し、宇宙ビジネスのネットワーク拡大と共創機会の創出を進めている。
今回、同社とアストロボティック社は協業契約を締結し、スペースモビリティの進化に向けた共創への一歩を踏み出した。アストロボティック社は、6種類の月面探査車開発やNASAからのローバー技術契約37件受託など、17年間にわたる月面探査車の開発実績を持つ宇宙探査と技術開発のリーディングカンパニーとなる。
同プロジェクトを通じて、モビリティの未来になくてはならない存在となることを目指す。
今回同社と共同開発したタイヤを装着予定のアストロボティック社の月面探査車「トゥエンティーフォー ユー キューブローバー」は、月面における科学調査機器とペイロード(積載物)の移動手段となり、電力、通信を提供するよう設計されている。「トゥエンティーフォー ユー キューブローバー」は中型サイズで、優れたハンドリング性能やサスペンション、長距離通信機能を兼ね備え、過酷な月面環境でも卓越した性能を発揮する。
「トゥエンティーフォー ユー キューブローバー」向けに開発する同社のタイヤは、金属製スポークを採用し耐久性を確保しながらも柔らかく変形することで、月面にある岩などの障害物を乗り越えて走行することが可能となる。
この構造により外部からの衝撃を吸収し、さらに走破性およびエネルギー効率の向上にも繋がるため、月面探査車の駆動系への負担を軽減し、月面探査ミッションを長期間足元から支えることが可能になる。近い将来、アストロボティック社と同社は月面への打ち上げおよび宇宙での熱環境におけるタイヤの耐久性も確認する予定となる。
同社は、月面探査車用タイヤ開発を通じて宇宙モビリティの進化を支えることで、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Extension人とモノの移動を止めず、さらにその革新を支えていくこと」にコミットしていく。
2024年11月06日