三菱ケミカルグループは11月8日、コーポレートベンチャーキャピタル子会社のDiamond Edge Venturesを通じて、次世代半導体や航空宇宙・自動車部品向けの素材を製造するスタートアップであるBoston Materialsに出資したことを発表した。
2016年に設立されたBoston Materialsは、炭素繊維複合材料について、金属と同等の導電性・耐久性を備えながら、樹脂と同等の軽量化を実現する「Zaxis Fiber」技術を開発した。特許取得済みの本技術は、水平面に対して炭素繊維を垂直方向に配向することで、エネルギー効率に優れる複合材料を製造することができる。また、高い熱制御機能を持つことから、次世代半導体や航空宇宙・自動車部品など幅広い産業で使用可能な素材として期待されている。
本出資は、Diamond Edge VenturesがインパクトベンチャーキャピタルファンドのACCELR8社と共同で資金調達ラウンドを主導し、Valo Ventures、Gatemore Venture Partners、Collab Fund、Woori Venture Partnersも参加し総額1,350万ドルを出資した。
Boston Materialsの創業者でありCEOのアンヴェシュ・グリジャラ氏は、「三菱ケミカルグループの素材や技術力と当社の『Zaxis Fiber』技術の共同開発によって、本技術を活用した素材や用途のさらなる開拓が可能になります。Diamond Edge Venturesによる今回の戦略的投資は、本技術が三菱ケミカルグループのエレクトロニクス、自動車、航空宇宙業界のパートナーや顧客にとって重要な位置づけにあることを示しています。」とコメントしている。
Diamond Edge VenturesのCEOであるカーティス・シックナー氏は、「三菱ケミカルグループは炭素繊維や複合材料分野におけるグローバルリーダーであり、最先端材料のスタートアップとの提携を通じて、その地位を維持し続けています。Boston Materialsは、三菱ケミカルグループが取り組んでいる次世代の高効率なエネルギーソリューションの開発に貢献する技術を保有しています。Boston Materialsとの提携を通じて、エネルギー伝達性と軽量素材への需要の高まりに対応することで、炭素繊維複合材料の新たな用途開拓を目指します。」とコメントしている。
本出資および提携は、同社グループにおけるコーポレートベンチャー活動の一環であり、今後もスタートアップ企業と連携して事業化を進めていくとしている。