世界的な総合化学企業であるSABICは11月8日、シンガポールに1億7,000万米ドル(2億2,000万シンガポールドル)を投じて新設したULTEM樹脂製造施設を正式に開設したことを発表した。この新しい施設は高性能熱可塑性プラスチックのULTEM樹脂を生産し、同社にとって同地域で初となる先進的な特殊化学品製造施設である。この新施設は、日本や中国を含むアジア太平洋地域のハイテク産業や製造業で急速に高まる需要に応えるものであり、ULTEM樹脂の生産量を世界全体で50%以上増加させるという同社の目標を支える戦略的な取り組み。
施設の開所式には、シンガポールの貿易産業省(MTI)および文化・社会・青年省(MCCY)の上級国務大臣であるLow Yen Ling氏、同社取締役会会長のKhalid H. Al-Dabbagh氏、同社最高経営責任者のAbdulrahman Al-Fageeh氏、およびシンガポール駐在サウジアラビア王国大使館の副大使であるOmar Al-Harthi氏が出席した。
シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けたこの新施設は、複雑で要求の厳しいサプライチェーンの要件に対応するため、高性能材料の信頼性の高い現地供給に向けた同社の取り組みを強化するもの。
シンガポール貿易産業省(MTI)および文化・社会・青年省(MCCY)の上級国務大臣であるLow Yen Ling氏は「SABICによる新施設の開設は、アジアへのゲートウェイとして、また化学品部門の主要拠点として、シンガポールのポジションを明確に示すものです」とコメントしている。
同社でCEOを務めるAbdulrahman Al-Fageeh氏は「私たちは、当社の高い製造能力を活用し、シンガポールにおいて世界で最も先進的なプラスチックの一つを生産できることを嬉しく思います。このULTEM樹脂製造施設は、この地域のハイテク産業と先端製造業に対する当社の長期的な取り組みを反映し、先進的アプリケーションの成長を支援するものです。私たちは、シンガポールの広範囲に及ぶ貿易協定によって、競争力をもってこの地域の市場にサービスを提供することができます」と話している。
シンガポール経済開発庁のLim Wey Len副長官は「SABICの新しいULTEM工場の開設は、アジアで高まる高性能特殊化学品の需要に応える拠点としてシンガポールへの信頼を表すものです。私たちは、新工場の高度な製造能力がシンガポールの化学部門を強化し、モビリティやエレクトロニクスなどの成長分野における顧客のニーズに対応していくことを楽しみにしています。今後も私たちは、世界に向けて最先端の材料ソリューションを生み出すために、ここシンガポールの私たちの才能と能力に投資していただけるSABICのような志を同じくするパートナーを歓迎いたします」と話している。
同社は世界的な知識移転や現地人材のスキル向上を図ることで、世界最先端の技術を活用したプラスチックの生産を効果的に管理できるよう、労働力の能力強化にも注力している。こうした人材開発と世界的な専門知識の活用を統合し拡張する総合的なアプローチは、地域の人材を基盤としたアジアにおけるハブの確立に寄与するもの。
同社の先端材料は、高性能ULTEM樹脂を用いたアプリケーションを通じて、自動車、ヘルスケア、通信分野にまで採用が広がっており、持続可能なハイテク製造におけるシンガポールのリーダーシップに不可欠なものとなっている。
この新しい施設はシンガポール政府の強力な支援によって、地域のハブとしての戦略的な位置づけと広範な自由貿易協定ネットワークの恩恵を受けていることから、同社は同地域に対する効率的なサービスの提供が可能となっている。