住友理工が共同開発 細胞農業向けの培養バッグ

2024年11月14日

ゴムタイムス社

 住友理工は11月12日、インテグリカルチャーと共同で細胞農業向けの細胞培養バッグを開発していると発表した。
 このたび、複数の特許出願が完了し、11月19日~21日にSands Expo&Convention Centre(シンガポール)で開催される「AgriーFood Tech EXPO ASIA 2024」へ同開発品を出展する。
 また、インテグリカルチャーが運営する細胞農業専用のBtoBマーケットプレイス「勝手場(英語名Ocatté Base)」での試験販売を開始する。
 同社は、細胞農業の代表的なスタートアップであるインテグリカルチャーが主宰する「カルネットコンソーシアム」に2022年より参画し、細胞農業の標準サプライチェーン構築に向けて共創活動を進めている。同コンソーシアム内で同社が開発を担当する培養工程では、従来、ガス透過性の低いプラスチックやガラス製の容器を使用してきたが、細胞増殖速度が遅く、煩雑な作業を伴うことが大規模化に向けた課題となっていた。
 これらの課題を解決すべく、同社はガス透過性の高い独自素材と精密成型技術を生かした細胞培養バッグの開発に着手した。
 従来の容器では、培地を容器容量の40%程度までしか入れられなかったことに対して、開発品ではバッグ容量の80%以上の培地を入れられるため、高収量・高密度な培養が可能になり、培地交換頻度も低減できる。また、ガス供給ポートや酸素供給装置が不要なシンプルな構成になっているため、培養工程の省スペース化や作業効率の大幅改善によるユーザビリティの向上が期待できる。
 今回、エントリーユーザー向けの200mLタイプと、将来的にスケールアップを目指すユーザー向けの1000mLタイプの2製品を開発し、インテグリカルチャーでのアヒル肝臓由来細胞を用いた評価において、従来と比べて2倍の収量となる4gの「細胞性食品」の作出に成功した。現在、コンソーシアム参画企業とともに同製品を用いた連携をスタートしており、今後はバッグの大容量化を進め、小~大スケールまでシームレスな培養プロセスを構築していく。

200ミリリットルタイプ

200ミリリットルタイプ

1000ミリリットルタイプ

1000ミリリットルタイプ

インキュベータへの設置イメージ

インキュベータへの設置イメージ

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