ゴム製笛「雫音」を製品化 東商ゴム、災害時の命を守る

2024年11月19日

ゴムタイムス社

 東商ゴム工業(東京都墨田区、末永大介社長)は、墨田区内のスタートアップ企業(合同会社Atelier Ars)と共同で、災害時の人命救出の手助けとなるゴム製笛「雫音(しずね)」を製品化した。雫音は、同社のオリジナルシリコーンゴム素材「フリーゴム」を用いたネックレス型のゴム製の笛。金属製や樹脂製の笛がほとんどのなかで、「弁理士にも確認していただいたが、ゴム素材の笛は聞いたことがない」(末永社長)。
 雫音は、今年1月に発生した能登地震を目の当たりにしたスタートアップ企業のデザイナーが「がれきの下にいた方々を救い出せないか」との思いから製品化に至った。
 東商ゴムが本社を構える墨田区は海抜が低く、海抜ゼロメートルの地域も多い。末永社長は「墨田区で事業活動を行う企業が災害時に人の命を助ける笛を製作する意義は大きい」とし、「製品名の雫音は当社の社員が雫を『命の音』に置き換えて名づけた」と話した。
 雫音は、㈱マクアケが運営しているクラウドファンディングサイト「Makuake」で11月10日から12月末まで先行販売中(取扱いは、東京下町想身具店@tokyo.s.accessory)。テストマーケティングの意味合いが強いものの、販売動向を分析したうえで、今後はスタートアップ企業が店売りを行っていくほか、東商ゴム工業のホームページでも販売する構想もあるという。
 金属製や樹脂製の笛は災害時につぶれ割れてしまう可能性がある。一方、ゴム素材の雫音は復元力があるため、笛が割れない。また、東商ゴムの強みである配合や成形技術とともに、協力会社の石井精工が製作した金型を活用することにより短期間で製品化にこぎつけた。 なお、災害時には人の耳に聞こえる音の大きさが重要になるが、雫音から発せられる音の大きさは最大70~80デシベル。金属製や樹脂製の笛と遜色のない音を出せる。
 さまざまなに着色できる点も雫音の強みの一つ。色について

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