レゾナックが独自技術確立 AIを活用した材料探索ツール

2024年11月15日

ゴムタイムス社

 レゾナックは11月14日、AI(人工知能)を活用し、材料の最適な組成を従来の5分の 1の時間で探索できる独自技術を確立したと発表した。
 同社は、同技術を用いることにより、半導体パッケージ用レジストの感光性樹脂の原料となるポリマー(重合体)の探索に成功した。この実証を受け、同社は、材料探索の汎用ツールとして同技術の社内展開を開始した。同社は、同技術の活用により、半導体材料創出の加速を図る。
 ポリマーは、多数のモノマー(単量体)が結合したもので、これまで、多数のモノマー候補の中からモノマーの組成比・種類も含めた最適な配合を見つけることは、組み合わせが膨大なため困難だった。しかし、同社は、複数の目標特性値を設定し、AIモデルによりこの特性値を満たす最適なポリマー物性を計算した後、アニーリング技術を適用することで、短時間で最適なモノマーおよび、その組成比を求めることに成功した。
 例えば、モノマー100種から5種選び、さらに組成比の合計が100%となるように各モノマーの組成比を1%ごとの刻みで計算する場合(組成比の例、20:20:20:20:20、10:10:5:5:70など)、従来法では概算で約10万年かかるが、アニーリング技術を使うと約10秒で計算することができる。
 ここで得たポリマーを用いた試作品は、良好な特性を示すことが実験にて証明され、現在は、添加剤等他の材料を含めた最適化に取り組んでいる。なお、同技術を活用することで、配合から試作までに要した時間は、熟練者が行う場合の5分の1に短縮できた。
 同社は、同技術を活用して、汎用的な配合最適化システムを構築し、社内展開を開始した。このシステムでは、ユーザーが組成物の目標物性とそれを構成する原料の物性を入力すると、目標物性に近い原料配合比率を得ることができる。
 同技術は、レジストポリマー設計に限らず樹脂設計や複合材料など幅広い分野に使用できる汎用的な技術であり、同社が強みとする半導体後工程製品へも活用を開始している。
 半導体の技術革新加速に伴い、高性能な材料を迅速に提案することが求められている中、同社は、ミクロ/マクロシミュレーション、AI/MI(マテリアルズ・インフォマティクス)など、計算科学、情報科学をフルラインアップで保有する計算情報科学研究センターのリソースの7割を半導体材料開発に投下し、成果を上げている。
 今後も計算科学、情報科学の活用に注力し、時代が求める機能をいち早く創出することにより、グローバル社会の持続的な発展に貢献する。

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