住友ベークライトは、パネルレベルパッケージ(PLP)に対応した圧縮成形用エポキシ樹脂封止材料を製品化し、量産販売を開始した。半導体パッケージの高機能化、高速化にともない、2・5D(2・5 次元)や3D(3次元)といった新たなパッケージ形態が開発されている。2・5/3D パッケージでは、複数の半導体チップを積層して、高密度な回路を実現することが可能で、需要が伸長しているクラウドおよびエッジ AI半導体など高集積化・高速化が必要な分野で開発が進んでいる。
一方、2・5/3D パッケージは搭載部品点数の増加や構造の複雑化により、生産性の改善が必要になる。PLPはこれまでデバイスの大量生産に適した製造技術だったが、先端半導体ではチップの大型化が進んでおり、生産性を高めるためにチップの取り数ロスが多いウェハーレベルパッケージ(WLP)から、より収率の高いPLPに対するニーズが高まっている。PLPは一回の成形でより多くの半導体パッケージを一括製造可能なことから WLPよりも生産性が高く製造コストの面で有利とされている。同時にリードフレーム基板や有機基板を削減可能なため、従来の成形方式よりも環境負荷が低減される。一方、パネルのさらなる大型化に伴い、実装後の反りやパネル内の成形厚みのばらつきなどの品質面の課題克服が必要だった。
同社はパネル全体を均一に成形し、反りを低減させて、安定した品質で生産可能な圧縮成形方式にて封止できる半導体封止材料の開発を進めてきた。この度、封止材のフィラーサイズ及び樹脂粘度を最適化することにより、成形後のパネルの反りを低減した圧縮成形用封止樹脂(顆粒材)を製品化し、600×600mmサイズの大型パネルでも均一な成形が可能になった。また、これまで多く使用されてきた液状封止樹脂に比べ、顆粒樹脂は成形前の樹脂撒き特性の向上や成形後のパネル反りおよび個片化後のパッケージ反りも低減でき、顧客の生産性向上に寄与する。
同社では、今後も市場拡大が見込まれるAI 半導体向けなど 2・5/3Dの先端半導体を製造する国内外の顧客に向けてサンプル出荷を開始しており、AI半導体の大型化に伴うPLP工法への材料開発を推進する。