ダイセルは11月20日、同社が協賛、協力し、竹中工務店が大阪・関西万博の会場敷地内「大地の広場」で2024年8月から3Dプリンターで建築を進めている「森になる建築」の構造体が完成したと発表した。
「森になる建築」は、来場者が休憩等に使うことができる仮設建築物として会場内に施設提供するもので、天然由来素材で生分解性を持つ同社の酢酸セルロース樹脂「CAFBLO」を3Dプリントしたものを構造材とし、外装材は手すきの和紙などと植物によって構成される。
生分解性樹脂を3Dプリントして建築する構造物としては、世界でも最大の大きさとなり、同年10月25日に「生分解性樹脂を構造材として一体造形した、世界最大の3Dプリント建築」として、ギネス世界記録に認定された。
今後は、伝統工芸の職人によってつくられた和紙に加え、植物の種をすきこんだ和紙「シーズペーパー」と、福祉施設でつくられた和紙を組み合わせて構造体に貼る外装工事、緑化工事を進め、2025年4月の完成を目指す。
「森になる建築」の建築地は、万博会場敷地内大地の広場、設計施工は竹中工務店、工期 は2024年8月~2025年4月、大きさは、直径4・65m、高さ2・95m、棟数は2棟、構造は酢酸セルロース造、主要仕上材は、(外装)紙、植物の種子・苗、(内装)酢酸セルロース表し、(床)三和土となる。
酢酸セルロースは、植物由来の「セルロース」と自然界に存在する「酢酸」を原料として製造される、天然由来かつ生分解性を持った環境にやさしい素材となる。また、木や綿花などの非可食性材料を主原料としているため、将来懸念される食糧問題に対して影響を与えない。同社は長年主力製品として取り扱っている酢酸セルロースの海洋生分解性を改めて評価し、様々なプラスチック製品に適用できるよう可塑剤との組合せにより酢酸セルロース樹脂「CAFBLO」のラインナップの拡大を進めている。
2024年11月21日