日本触媒は11月12日、JSR子会社でエマルジョン事業等を展開するイーテック(三重県四日市市)の株式取得についてJSRとの間で合意し、同日株式譲渡契約を締結したと発表した。取得価額は72億円になる見通し。1963年にJSRの子会社として設立されたイーテックは、現在はエマルジョン事業及びファイン事業の二つの事業を展開。エマルジョン事業ではコア技術の「エマルジョン重合技術」やエマルジョンと他材料を複合し高機能化する「コンパウンド技術」を活かし、合成ゴムラテックス、アクリルエマルジョンを主原料とする建築・土木・各種産業用の防水材・接着剤・粘着剤等の製品を製造・販売する。
日本触媒はこれまで培ってきた研究・開発力を活かし、顧客が抱える課題を解決する独自機能を提供する「ソリューションズ事業」の拡大を目指している。ソリューションズ事業のうち、「インダストリアル&ハウスホールド事業」が展開するコンストラクションケミカルズ市場は、人口増加と都市化を背景に世界的な成長が見込まれている。 同社はこれまで塗料用樹脂やセメント添加剤用ポリマーを市場に投入してきたが、さらなる事業拡大を目指し、顧客課題をワンストップで解決するビジネスモデルを実現すべく、外部技術や事業の獲得による提案力強化を志向した。
同社では同取引を通じて、コンストラクションケミカルズを中心とした製品ポートフォリオの強化、エマルジョン重合技術や生産能力の拡大、及びコンパウンド技術による製品提案力の強化が可能となると判断し、株式譲渡契約締結に至った。 またイーテックでは、本取引を契機に同社グループとの協力関係を深めていくことで、製品ポートフォリオの強化や研究開発力の融合による事業の拡大により、企業価値の更なる向上が可能になると考えている。
2024年11月20日