東レは11月20日、シルック発売60周年を記念して、植物由来PETと複合紡糸技術NANODESIGNを融合した新素材「シルック美來/SillookMirai(シルックミライ)」を開発したことを発表した。
2025年春夏シーズン向けから、和装および洋装用途としてメンズ・レディス向けのアウターからボトムスまでの展開を予定し、2025年度10万m、2027年度50万mの販売を目指す。
1960年代は合成繊維の黎明期で、レーヨンとナイロンに次ぐポリエステルが大量消費時代の幕開けの一端を担っていた時代。同社は「絹」に学び、特徴を捉えて活かすことを開発の原点とし、絹が持つ光沢、ドレープ、ふくらみ感、さらには「絹鳴り」といった独特の音色までも追求することで、1964年に初代「シルック」を創出した。以来、シルックシリーズは日本の伝統的な絹織物文化と現代技術を融合させた革新的なテキスタイルとして長年にわたり高い評価を得てきた。
資源枯渇や地球温暖化などの地球環境問題に注目が集まる中で、同社はバイオエコノミーが目指す未来に向けて、これまでシルックが培ってきた技術をベースとし、PET原料の一部を石油由来から植物由来に置き換える技術と、同社独自のNANODESIGN技術との融合により、これまでのシルックを超える高質感や快適機能性を実現した新素材「シルック美來」を開発した。
「シルック美來」は、従来の石油由来原料に代わり、植物由来原料を約30%使用した環境配慮型新素材であり、繊維断面を精密に制御するNANODESIGN技術の深化によって実現した、表面凹凸の異なる異形断面繊維が混在する糸束構造により、シルックが追求し続けてきたシルクタッチや自然な光沢といった高質感に加え、着物の裾がすれ合う際の「絹鳴り」といった、目に見えない美しさも表現する。
また、テキスタイル表面に形成された凹凸斑は、これまでのシルックでは達成が困難であった和装における着用時の着崩れ防止や、優れた耐洗濯性、さらにはイージーケア性をも実現することで、エレガントで滑らかな質感に、繊維の断面形状を精密に制御することで生まれる快適機能性を付与している。
「シルック美來」は、絹の美しさと、絹にはない優れた機能を追い求めてきたシルックの60年間にわたる技術革新の集大成。機能性を有する環境配慮型素材であるとともに、本素材の特長を発揮する豊富な素材ラインナップも取り揃えることで、「みらいの日常を美しく」をコンセプトとし、伝統の和装から最先端のファッションまで幅広い用途で人々の豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。