三井化学らが技術開発に着手 リンのリサイクル用途拡大へ

2024年11月22日

ゴムタイムス社

 三井化学は11月21日、同社と同社の100%子会社である下関三井化学が、国内の未利用リン資源から回収したリン酸を高純度リンマテリアルへと高付加価値化し、製造業分野での循環利用を可能とするために必要な技術開発に着手したと発表した。
 これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「NEDO先導研究プログラム/新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム」に、産業技術総合研究所、米山化学工業、佐賀大学とともに共同提案し採択され、進めているものとなる。
 高純度リンマテリアルは、EV電池や半導体、再生エネルギー発電蓄電池など、脱炭素産業社会の形成に欠かせない材料となる。これらは、リン鉱石から作られる「黄リン」を共通の原料として製造しているが、その生産には未だに19世紀後半に開発された手法が用いられており、環境に大きな負荷を与えている。
 また日本で使われるリン鉱石および黄リンは、海外輸入に100%依存しているのが現状となる。リン資源の安定供給には経済安全保障上のリスクもあることから、リンは特定重要物資に指定されている。
 同研究では、国内製造業分野などで発生するリン含有廃棄物および副産物(未利用リン資源)を高純度リンマテリアルへと高付加価値化させ、回収リンを原子および分子のレベルで精製し、幅広い製造業分野での循環利用を可能とする技術の立を目指す。
 日本で唯一、湿式法でリン酸を製造する下関三井化学、触媒化学が得意な同社など、リン酸への知見や技術力を有している各機関が一丸となって取り組むことで、従来、主に農業分野における肥料用途に限定されていた回収リンのリサイクル用途の拡大につながる技術開発に貢献していく。

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