帝人フロンティアは11月28日、四つ山扁平断面形状糸「ウェーブロン」において、新たに開発した撥水性を付与したタイプと、従来の吸水性を有するタイプとを最適に配置した肌側層と、吸収した汗を拡散する外側の拡散層からなる2層の特殊構造体とすることで、従来、困難であった接触冷感機能と汗のべたつき防止機能を両立する次世代型快適素材「COOLSHELL CARAT(クールシェル カラット)」を開発したことを発表した。
同社は「COOLSHELL CARAT」を2026年春夏の国内、海外のスポーツ・アウトドア向けの重点プロモート素材と位置付けて拡販を図っていく。
開発の背景として、近年のスポーツ・アウトドアウエア市場では、温暖化の影響から、運動時の接触冷感機能や汗処理機能などの複数の機能を有する、着用快適性に優れたウエアが求められている。しかし、接触冷感機能は、肌からの熱伝導性を高めて冷感を発現するために、肌との接触面積を大きくするなどの必要がある一方、汗のべたつき防止には、肌側を凹凸構造にして肌との接触面積を少なくする必要があるなど、これまで接触冷感機能と汗のべたつき防止機能の両立は困難だった。
こうした中、同社は、幅広く展開している、肌側に撥水糸を配置した汗処理機能を有する特殊構造体「トリプルドライ カラット」と、FD(フルダル)非捲縮原糸で接触冷感機能も有する「ウェーブロン」に着目し、この2つの機能を融合することで、接触冷感機能と汗のべたつき防機能の両立を目指してきた。
そして、このたび、撥水性を有する「ウェーブロン」を新たに開発し、肌側をこの撥水タイプと従来の吸水タイプを最適に配置した特殊構造体とすることで、肌への接触により発現する接触冷感機能と、汗を素早く吸い上げて拡散させるべたつき防止機能を両立する次世代型快適素材「COOLSHELL CARAT」の開発に成功した。
「COOLSHELL CARAT」の特長として、以下の3点が挙げられている。
一つ目はクーリング機能。肌側層は肌からの熱の移動を促進する酸化チタンを多く含み、非捲縮の扁平断面原糸を用いて肌への接触面積を高めることで、Qーmax(最大熱吸収速度)0・2W/cm2以上(⊿T=20℃)「JIS L 1927 法」の接触冷感機能を有する。また、非捲縮原糸が繊維間の空隙を最大化し、高通気を実現して衣服内の蒸れ感を軽減する。
二つ目は汗処理機能。肌側層に撥水と吸水タイプの「ウェーブロン」を最適に配置することで汗を素早く吸収するとともに肌をドライに保つ。また、四つ山の異形断面形状であるため毛細管現象により素早く汗を外側層に拡散し、速乾性を発現する。
三つ目は環境対応。PFAS(有機フッ素化合物)フリーの撥水機能付与技術を用いるとともに、リサイクルポリエステルを100%使用しており、環境に配慮された素材。
今後の展開として、2026年春夏のアウトドア・スポーツ向けへ販売を開始し、その後、ファッション衣料などの機能性衣料向けへと幅広く展開し、2025年度に10万m、2028年度に100万mの販売を目指す。