旭化成エレクトロニクスは12月3日、同社史上最小・最薄(0・8×0・4×0・23mm)となる次世代インジウムヒ素(InAs)化合物ホールセンサー「HQ0A11」の量産出荷を2024年11月より開始したことを発表した。高精度ホールセンサーシリーズの既存製品である「HQ0811」から85%の体積削減を実現している。スマートフォン等のカメラモジュールや小型ロボットなどの高性能化に貢献していく。
ホールセンサーとは、磁場(磁束密度)を検出する磁気センサー。同社は、1974年に自動車用エアバッグのセンサー開発からホールセンサーの事業化をスタートし、時代のニーズに応えながら開発や自社製造ノウハウを進化させ、これまで累計500億個以上のホールセンサーを出荷してきた。
近年ではスマートフォンのカメラの手ブレ補正やオートフォーカス機能などに多くの位置検出用ホールセンサーが採用されているが、カメラの高機能化・高精細化に伴い、搭載点数の増加や搭載スペースの縮小化が進んでおり、限られたスペースに高密度での部品実装を可能にする超小型品へのニーズが高まっている。また、業務用・家庭用の小型ロボットなどでの用途展開も広がっている。
新製品HQ0A11は化合物半導体素材であるインジウムヒ素の特性を生かし、同社の位置検出用ホールセンサーにおいて史上最高のS/N性能を実現した。これまでのカメラモジュール向け主力製品であったガリウムヒ素系ホールセンサー「HG0C11」と比較し、3・5倍以上となる位置検出精度を実現する。これによりスマートフォンカメラの特に望遠レンズで発生しやすい「レンズ揺れ」も大幅に低減することが可能となる。
同社は独自の化合物半導体技術によりスマートフォンのみならず、ロボット向け小型モーターなど今後のエレクトロニクス製品のさらなる小型化・高機能化に貢献していくとしている。