豊田合成は12月5日、交通事故が発生した際の人体の挙動と傷害をコンピューター上で再現するシミュレーション技術(CAE技術)を活用し、主力製品であるエアバッグの保護性能の向上に取り組んでいるが、このたびドイツで11月25日から3日間行われた「自動車の安全システムに関する国際シンポジウム」(Airbag2024)でCAE技術を用いた研究成果を発表した。
同シンポジウムは産官学連携で車の安全性を高めるために隔年開催されており、そこで共有された知見が将来の交通安全の方針や規制に影響する。同社は、世界の交通事故死傷者ゼロへの貢献を目指しており、より安全で安心なモビリティ社会を支える製品を開発・提供していくことを目的として同シンポジウムに毎回参加し、最新の研究成果などを紹介している。
今回は、人体の挙動と傷害を忠実にシミュレーションできる「人体モデル」を活用した研究成果を発表した。
同社は、ダミー人形を用いた衝突模擬試験に加え、人体モデルを用いた安全性評価を20年以上続けており、衝撃耐性の低い高齢者の骨折リスクの予測に加え、ダミー人形では発見が難しい内臓傷害のリスクの予測などを医工連携で進めている。
その一環で、側面衝突時の胸腹部の傷害に関わる因子の分析結果として、側面衝突に対応した新たなエアバッグ(前席センターエアバッグ)の有効性について発表し、多くの関心を集めた。
さらに、欧州における車両の衝突安全アセスメント(Euro NCAP)のボードメンバーであるAndre Seeck氏と、グローバルでの安全分野をリードする欧州のアセスメント動向についての議論を深めた。
今後もCAE技術を磨き、「さまざまな体型の乗員」や「複雑な衝突・事故形態」、「多様な車両形態」に対応した製品開発を進めていく。
2024年12月06日