ダイセルは12月5日、同社を含む5社が中心となり、腸内環境検査業界の発展と信頼性の向上を目的とする業界団体「腸内環境ヘルスケア協会」が2024年10月23日付で設立されたことを発表した。
同団体は、サイキンソーとメタジェンを代表理事兼発起人として設立され、テクノスルガ・ラボ、カルビー、ダイセルが理事として参画する。
今後、腸内環境検査業界の発展を目指して活動を本格的に開始していく。
近年、腸内環境と健康との関連に対する消費者の関心が高まり、腸内細菌叢検査の需要が増加している。一方で、現状では検査手法や品質に関する統一された基準が存在せず、各事業者が独自の基準で運営しているため、消費者が結果を理解しづらいという課題がある。また、腸内環境が個人ごとに異なるため、個々に最適化された生活習慣改善のアドバイスが求められているが、アドバイスの提供には制限がある。これらの状況を受けて、腸内環境検査の精度管理や消費者保護を目的として、「腸内環境ヘルスケア協会」を設立する運びとなった。業界全体の信頼性を高めるべく①腸内細菌叢検査の標準化や指針作り、②検査結果のアドバイスや行動提案に関するルール策定、③産業化に資するエビデンス構築に取り組むもの。同時に新規事業者も安心して参入できる環境を整え、業界全体の発展への寄与を目指す。さらには、検査に対する海外の動向も踏まえ、未だ定まっていない国際基準の策定、日本発のグローバルスタンダードの確立によって、世界市場での展開を目指す。
上記の設立趣旨に資するため、腸内環境ヘルスケア協会は次の活動を行う。(1)腸内環境検査の自主規制ガイドラインの策定、(2)検査結果からのアドバイス・行動提案に関する適切なルール策定・運用に向けた提言、(3)腸内環境の可能性を最大化するための産業化に資するエビデンス構築を行う。
腸内環境検査事業者およびヘルスケア関連企業や有識者を対象に、「腸内環境ヘルスケア協会」の会員募集を開始した。入会に関する詳細は協会のホームページを参照。
理事の紹介とコメントは以下の通りとなる。
サイキンソー代表取締役CEOの沢井悠氏は、「私たちサイキンソーは、『細菌叢で人々を健康に』という理念のもと、腸内環境検査をはじめとする様々な事業に取り組んでいます。誰もが自然と健康になれる社会を実現するには、安心して自身の腸内環境を把握し、その方に最適なサービスを提供することが欠かせません。そのためには、健康に携わる多くの事業者が一丸となって業界全体の信頼性を向上させていくことが重要です。腸内環境ヘルスケア協会設立に向けた皆様のご支援に心から感謝申し上げます」とコメントしている。
メタジェン代表取締役社長CEOの福田真嗣氏は、「弊社では研究で得られた知見やエビデンスをもとに、腸内環境に合わせた食の提案などの事業化・社会実装に取り組んでいます。一人ひとりが自分の腸内環境を知り、生活習慣の選択を実現していくためには、本協会での取り組みである3つの柱の活動すべてが必要と考えています。本協会に携わる皆様とともに業界全体の課題解決に取り組み、弊社のミッションである『腸内環境に合ったヘルスケアをあたりまえにする』ことの実現を目指してまいります」とコメントしている。
テクノスルガ・ラボ代表取締役社長望月淳氏は、「弊社は、2001年から腸内細菌叢の解析技術開発を始め、受託サービスをスタート。腸内細菌叢解析の分野において、20年以上の実績を有しています。現在は、腸内細菌叢解析にとどまることなく、短鎖脂肪酸や胆汁酸など糞便中の多様な物質の分析、採取キットの開発など、腸内環境をより広く評価するためのサービスや製品を提供しています。当社のこれまでの実績、経験を活かし、個々人の腸内環境にあわせたアドバイス確立を目標に、本活動に取り組んでまいります」とコメントしている。
カルビーの研究開発本部研究部部長石原克之氏は、「『私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。』という企業理念のもと、スナック菓子やシリアル食品、腸内環境を検査し、自分専用のグラノーラをつくるサービス『Body Granola』等を提供しています。腸内環境が健康に与える影響が注目される中、腸内環境の検査や関連製品の品質向上と標準化に取り組むため、本協会に参画しました。協会を通じ、科学的エビデンスに基づいた製品開発と環境整備に貢献し、消費者に安心して選んでいただける商品・サービスを提供し、業界と社会の発展に努めてまいります」とコメントしている。
ダイセルのヘルスケアSBU事業推進室マネージャー卯川裕一氏は、「弊社は、おなかの中で起こっている健康機能をより多くの方に享受していただくため、大豆イソフラボンの腸内代謝物であるエクオールやザクロなどのエラグ酸の腸内代謝物であるウロリチンを始めとする機能性食品素材の製品開発を進め、それらの素材を上市してまいりました。腸内細菌と病気の関係や、腸内細菌が作りだす物質の健康への影響など、これまで明らかでなかった腸内環境の健康への寄与が研究の進展とともに明確になってきております。これからは、腸内環境を知り、その状態にあった健康習慣を取り入れる、いわば腸内をデザインして健康を維持していくことがますます重要な時代に突入しつつあります。そのような状況の中で、腸内代謝物の重要性や健康への影響、腸内をデザインすることの必要性をもっともっと消費者のみなさまにお伝えし、知っていただきたいとの思いから本協会に参画しました。協会での活動を通じ、腸内代謝物と健康との関係や、腸を制すものは健康を制すことをエビデンスも取り入れながら周知し、消費者のみなさまの健康に役立てていただくよう取り組んでまいります」とコメントしている。