三洋化成が低温流動性向上剤開発 バイオディーゼル利用を促進

2024年12月17日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は12月16日、バイオディーゼル燃料の低温流動性向上剤『ネオプルーバー HBFー101』を開発したことを発表した。
 バイオディーゼル燃料は、植物や廃食油を原料とし、CO2排出量が実質ゼロとみなされることから、カーボンニュートラルなエネルギー源とされている。しかし、軽油に比べ低温環境下では燃料の流れが悪くなりやすく、寒冷地での使用には対策が必要。
 同社が開発した『ネオプルーバー HBFー101』は、バイオディーゼル燃料に添加することで低温流動性を改善し、寒冷地でのエンジントラブルを未然に防ぐ。これにより、地域を問わずバイオディーゼルの利用を促進し、CO2排出削減に貢献する。

 バイオディーゼル燃料は、植物油や廃食油を原料に製造されるディーゼルエンジン用のバイオ燃料。原料となる植物が成長過程でCO2を取り込むため、燃焼時に排出されるCO2が相殺されるとみなされ、カーボンニュートラルなエネルギー源として注目されている。
 現在、最も普及しているバイオディーゼル燃料は、植物油や廃食油をメタノールでエステル交換した脂肪酸メチルエステル(FAME:Fatty Acid Methyl Ester)。しかし、FAME系バイオディーゼル燃料は軽油と異なる特性を持ち、軽油より流動点が高く低温環境で流動性が悪化するため、寒冷地で使用した場合にはフィルターやポンプの目詰まりを引き起こす可能性があった。この課題が、高濃度での使用を制限する要因の一つとなっている。

 『ネオプルーバー HBFー101』は、バイオディーゼル燃料に添加することで低温流動性の指標である「目詰まり点(CFPP: Cold Filter Plugging Point)」を低下させる効果が確認されており、低温流動性を大幅に改善する。
 また、本品は、大豆油、パーム油、菜種油、廃食用油など、さまざまな原料から製造されるバイオディーゼル燃料に対して安定した効果を発揮する。
 これらの特性により、バイオディーゼル燃料の地域や供給元を問わず、寒冷地や冬季での利用を可能にする。

 低温時の課題が解決されることで、化石燃料との混合比率の向上や、将来的には100%バイオディーゼル燃料の使用が期待される。同社は『ネオプルーバー』を通じてバイオディーゼル燃料の普及を一層促進し、温室効果ガスの削減と持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していくとしている。

『ネオプルーバー HBFー101』の添加効果

『ネオプルーバー HBFー101』の添加効果

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