東レがGX支援事業に採択 HC電解質膜の開発や量産

2024年12月19日

ゴムタイムス社

 東レは12月18日、水電解装置に用いられる電解質膜のGW級量産体制構築が、カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指すグリーントランスフォーメーション(GX)分野の国内製造サプライチェーンを世界に先駆けて構築することを目的とした、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択されたと発表した。
 同社は、産業分野のGX実現のキー技術とされる水電解水素製造装置について、固体高分子(PEM)形水電解装置の飛躍的高性能化に寄与する部材である、高プロトン伝導性と低ガス透過性を兼ね備えた同社独自の炭化水素系(HC)電解質膜を開発し、その量産技術開発と事業開発を進めてきた。
 同社は、山梨県および技術開発参画企業9社とともに、グリーンイノベーション基金事業における新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業である、大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る実証事業を進めている。
 実証地であるサントリー天然水南アルプス白州工場および山梨県北杜市のサントリー白州蒸溜所の脱炭素化を目指して、再生可能エネルギーを安全・安心に水素エネルギーに転換できるPEM形水電解装置をモジュール化したP2Gシステムを16MW規模で導入し、大規模需要家がボイラ等で利用する化石燃料を水素エネルギーに転換する実証計画を進めるべく、2024年2月に現地工事を開始した。
 今回採択された投資計画の構想は、HC電解質膜について、水電解装置能力に換算して10GW以上の規模の生産能力を2028年度中に構築するもので、投資額は560億円となる。
 今後、再生可能エネルギーの活用が進むにつれPEM形水電解装置の市場規模も拡大し2030年代前半には電解質膜の市場として年間1000億円を超える規模に成長することが期待されている。
 同社はPEM形水電解装置の市場における電解質膜のNo・1サプライヤーとなり、水素社会の実現に貢献することを目指している。
 同社は、優れた先端素材の力で「温室効果ガスの排出と吸収のバランスのとれた世界」など持続可能な社会の実現に取り組んでいる。同事業においてHC電解質膜の生産体制を整備し、パートナーと協力してHC電解質膜を搭載した高効率水電解装置を展開し、グリーン水素サプライチェーンの構築を通じて、水素社会・カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

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